カレッジマネジメント204号
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42リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017ラーニングアウトカムの検討と、その検証システムとしての「KPIダッシュボードKGモデル」(以下、KPIダッシュボード)の開発である(図表2)。KPIダッシュボードとは、大学運営のための戦略的重要指標をKey Performance Indicator(KPI)として設定して一覧化することで、大学の現状と課題を把握する独自の仕組みである。大学マネジメントにおける主要分野を対象に、目的・目標の進捗や達成度を測るために設定したKPIを指標項目とし、各項目を指標データとして示し、その指標データの経年変化や他大学との比較、目標値との差をグラフ化することで大学マネジメントの全体像を俯瞰し、モニタリングするツールとなる。自動車や航空機が運転席正面にある計器盤(ダッシュボード)をもとに適切に操縦されるように、大学が適切にマネジメントされるために必要な指標を一覧化し、理事会や大学執行部が経営指標となる情報を共有することで全体状況を俯瞰的に把握し、目的・目標への到達を目指すことが意図されている。それでは、大学におけるKPIはどのように設定されているのだろうか。このことについて村田学長は、「まだ研究段階で最終的な個々のKPIの項目は検討中であるが、KPIの最上位の指標は既に決まっている。関西学院では、大学教育の質保証のみでなく、学生の質の保証を重視する。到達レベルの高い学生を育てることを重視し、社会からの評価として就職率、就職・進路決定率、内定企業への満足度、卒業後のOB・OGの活躍度等を最上位のKPIとし、それをアウトカムの指標として内部質保証を進めていく。この指標は、スクールモットーである“Mastery for Service”に基づいている」と明確に説明する。「奉仕のための練達」と訳される関西学院のスクールモットーは、「隣人・社会・世界に仕えるため、自らを鍛えるという関学人のあり方を示すもの」で、事業を通じた社会への貢献を理想としたプロテスタントの精神が背景にある。ここから、ビジネスパーソンを養成することや、就職について学生の満足度が高いことは、大学の建学の理念(キリスト教主義に基づく全人教育)に繋がるものと位置付けられているのである。また、学生が単に就職するだけではなく、卒業後に、真に豊かな人生を送るための幸福のあり方を含めて考えていくことも想定されている。卒業生が目標を持って生きていく中で、社会、コミュニティーを発展させることを教育の成果として位置づけていくこと図表2 KPIダッシュボード KGモデル入学(入口)ブランドイメージの総合指標教育国際ボランティア派遣者数正課外活動への参加率ST比学生生活満足度授業調査による成果評価授業外学習時間DP達成度(汎用的能力獲得)ラーニングコモンズの活用度収容定員充足・超過率教育研究経費比率ハンズオンラーニングプログラムの単位取得者数年間受入留学者数年間派遣留学者数TOEIC®基準以上学生比率国連・国際機関等の職員輩出数進学上位校 入学者数関西圏からの出身者比率志願者倍率大企業への就職率内定企業への満足度人生の満足度30歳での平均年収個人寄付総額人件費比率借入金残高比率繰越収支差額比率実質支出超過額比率事業活動収支差額比率入学者の第一志望度有力400社への就職率就職率母校推薦度就職・進路決定率スクールモットー浸透度上場企業役員数当年度収支差額比率移動平均高校「平均ランク」比較入試難易度(偏差値)同系列学部勝敗同系列学部難易度比較就職(出口)卒業後経営資源戦略指標参照指標基盤指標※指標の下に本来記している実績数値(直近年度)は省く ★はスーパーグローバル大学創成支援事業の指標特長・個性学習経験学習経験教育環境学習成果学習成果学習成果学習時間満足度国際化国際化正課外※TOEIC®テスト★★★★★インパクト指標

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