カレッジマネジメント204号
48/72

48リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017進路指導を担当している先生方は進路指導の難しさをどう感じているのだろうか。「非常に難しい」割合は経年で見ると減少傾向にあるものの、「やや難しい」を合わせると約9割が「難しい」と感じており、過去調査と比較しても状況に大きな変化はない(図表1)。大学進学率別に見ると、40%未満が2010年の調査では厳しい景況感の中で53%が「非常に難しい」と感じていたものの、今回の調査では30.2%と他クラスターと比べて大差はない。そんな中、大学や専門学校、就職等、生徒の多様な進路への指導が求められる70~95%未満、40~70%未満では、「非常に難しい」と感じている割合がほかに比べて少し高い傾向にある。入試の多様化、指導時間の不足、生徒の進路選択・決定能力の不足進路指導の困難な要因とは?では、進路指導を困難にしている要因はどこにあるのだろうか。該当項目を全て選んでもらったところ、【学校】「教員が進路指導を行うための時間の不足」67%が前回2014年調査に続きトップ。2位は僅差で【生徒】「進路選択・決定能力の不足」66%、3位【進路環境】「入試の多様化」62%、以下【生徒】「学習意欲の低下」54%、【保護者】「家庭・家族環境の悪化:家計面について」51%と続く(図表2)。カテゴリー別に見ると【生徒の問題】に関する項目が総じてスコアが高い傾向にある。次に、前回調査との変化に着目すると、【進路環境】「上級学校の学費高騰」「入試の多様化」、【学校】「教員の意欲・能力不足」「旧態依然とした教員の価値観」、【保護者】「保護者が干渉しすぎること」が前回より概ね3ポイント以上増加している。上級学校の入試の多様化や学費の問題に伴う指導の難しさに加え、高校の進路指導の「現状」と「変化の兆し」第19回 高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016【調査概要】「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査 2016」●調査目的全国の全日制高等学校で行われている進路指導・キャリア教育の実態を明らかにする●調査方法質問紙による郵送法●調査対象・対象校数 全国の全日制高等学校4807校の進路指導主事●調査期間2016年10月6日(木)~2016年10月28日(金)(11月4日(金)到着分まで集計対象)●有効回答数1105校(回収率23.0%)*設置者別:国公立784校、私立309校、無回答12校リクルート進学総研が隔年で実施している「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」は第19回を迎え、先般2月にその結果を発表した。教員の多忙さが叫ばれる中、複雑化する入試の仕組みや個々の生徒に対する指導等、多様化する進路指導の実態が浮き彫りになった。本企画では、調査報告書ならびに、高校教員向けの進路指導・キャリア教育専門誌『キャリアガイダンス』より、そのポイントをお伝えしたい。2010年 全体2012年 全体2014年 全体2016年 全体無回答その他難しいとは感じていないやや難しいと感じている非常に難しいと感じている難しいと感じている・計1105調査数114011791208(%)30.431.634.638.454.45.81.156.66.71.40.70.358.48.31.10.661.56.61.40.1図表1 現在、進路指導を難しいと感じているか(全体/単一回答)山下真司リクルート『キャリアガイダンス』編集長9割が難しいと感じている進路指導に難しさを感じている?大短進学率別「非常に難しい」95%以上70〜95%未満40〜70%未満40%未満23.533.233.330.227.536.834.427.515.729.842.744.618.230.938.052.6※各年とも「非常に難しいと感じている」より5ポイント以上高い数字を■色で表示。

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る