カレッジマネジメント204号
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50リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017生徒に不足しているのは「主体性」「課題発見力」「実行力」これからの社会で必要とされる資質・能力は?経済産業省で定義されている「社会人基礎力」の12の能力要素のうち、これからの社会で働くにあたって必要とされる能力と、生徒が現在持っている能力をそれぞれ3つまで選択してもらった(図表4)。まず、必要とされる能力は「主体性」60%、「課題発見力」44%、「実行力」35%がトップ3となり、前回調査と同じ結果だ。一方、生徒が持っている能力は「規律性」が52%で突出、「傾聴力」32%、「柔軟性」22%と続いており、両者の差分から「主体性」「課題発見力」「実行力」等、“主体的に行動する力”が不足していることが窺える。別調査であるが、高校生、ならびに保護者への同質問では、同様の結果が得られている。ただし、「課題発見力」の必要性については、生徒、保護者の調査では上位にランクインせず、教員の見解とは異なっている。飛躍的に取り組みが増加反面、不安や疑問の声もアクティブ・ラーニングの視点による授業改善の取り組み状況は?では、高校現場における学びの実践状況、ならびに資質・能力の育成状況はどうだろうか。アクティブ・ラーニング(以下AL)の視点による授業改善への取り組みについて尋ねたところ、全体では93%が取り組んでいるという回答を得た(図表5)。これは前回調査の47%からほぼ倍増しており、この2年で飛躍的に取り組みが進んだことが分かる。ただ詳細に見てみると、学校全体での取り組みは25%に留まり、51%が教員個人による取り組みである。教員間で取り組みに温度差がある実態が浮き彫りになった。ALの実践が進む一方で、「型に拘っている」「グループワーク=ALと捉え(%)020406080生徒が現在持っている能力将来必要とされる能力0204060802014年 全体2016年 全体(%)図表4 生徒が将来社会で働くにあたり、「特に必要とされる能力」「生徒が現在持っている能力」(全体/各3つまで回答)図表3 進路指導時に生徒の進学先として重視する点 (大学)(全体/複数回答):上位15項目前に踏み出す力 【アクション】考え抜く力 【シンキング】チームで働く力 【チームワーク】主体性実行力働きかけ力課題発見力計画力創造力発信力ストレスコントロール力情況把握力柔軟性傾聴力規律性調査数物事に進んで取り組む力目的を設定し確実に行動する力他人に働きかけ巻き込む力現状を分析し、目的や課題を明らかにする力課題解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力新しい価値を生み出す力自分の意見を分かりやすく伝える力ストレスの発生源に対応する力自分と周囲の人々や物事との関係を理解する力意見や立場の違いを理解する力相手の意見を丁寧に聞く力社会のルールや人との約束を守る力将来必要とされる能力110560.335.311.744.122.516.928.313.117.817.115.013.5生徒が現在持っている能力110512.17.97.02.83.26.79.74.720.222.432.351.6調査数学びたい学部・学科・コースがあること学生の面倒見が良いこと生徒の興味や可能性が広げられること就職に有利であること卒業後に社会で活躍できること伝統や実績があること教育方針・カリキュラムが魅力的であること教育内容のレベルが高いこと専門分野を深く学べること勉強するのに良い環境であること社会で役立つ力が身につくこと学習設備や環境が整っていること将来の選択肢が増えること教授・講師陣が魅力的であること学費が高くないこと2016年 全体110579.055.853.544.943.843.442.239.535.834.834.433.130.328.828.82014年 全体114072.953.254.745.542.537.742.534.136.536.837.630.232.424.625.0※「2016年 全体」の降順ソート※カテゴリーごと「将来必要とされる能力−現在持っている能力の差分」の降順ソート

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