カレッジマネジメント204号
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51リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017ている」など、ALが目的化しているとの懸念や疑問の声が多数聞こえている(フリーコメント)。文科省はALの視点からの授業改善として「主体的・対話的で深い学び」の3つの視点を掲げ、本質的な学びに向けた授業転換を促している。ALの視点による授業改善で生徒にどのような資質・能力が身につくかを尋ねた(図表6)。「コミュニケーションスキルの向上」63%、「主体性・多様性・協働性の向上」が僅差で62%、「思考力・判断力・表現力の向上」57%、「学び「社会に開かれた教育課程」と称し、幼小中、高校、大学・専門学校、そして社会へトランジションしていく学びをどう描いていくか。「学力の3要素」を基軸に高校と高等教育機関の学びがつながり、相互に選抜する仕組みへの転換が求められている。今回の調査では、様々な現実の問題に向き合いながらも、学びの転換を図る高校現場の実態、教員の心境が見えてきた。決して課題は少なくない。が、大きく一歩を踏み出しはじめた、そう感じている。に向かう姿勢の向上」46%と、上位は4割を超える反面、「基礎的な学力(知識・技能)の向上」は19%と大きくスコアが開く結果となったのは気がかりだ。基礎学力習得への疑問をはじめ、授業進捗の懸念、現状の入試対応への懸念等、不安の声は少なくない。●昨年末、次期学習指導要領の改訂についての基本的な方向性が答申されたのは周知の通り。高校の学習指導要領の公示は来年の予定だが、大きな方向性はこの答申で示されている。●40名近くの生徒、10グループを把握するのは困難。●一見良いムードを持つが、本当に学力向上や力のつく授業になるかは大いに疑問。一部の力のある、積極性のある生徒のための授業にならないか。●ALのもととなる基本的な知識や考え方をしっかり身につけさせることのほうが重要。ALを強調しすぎると、基礎力不足なのに、応用ばかりやろうとし無駄に終わる。●ひとつの手法・形式を考えて実施しても、数回繰り返すと生徒間にマンネリ感が生じてくる。●本校の生徒のレベルと大学入試との関連を考えると、基礎的な学力(知識、技能)の向上を図ることが優先されるべきであり、全ての授業をALで行うことは、かつての「ゆとり教育」の二の舞になりかねない危惧を抱いている。●生徒の学力、学校の施設、設備、予算、人材に大きく影響される。理科の授業例を読んだことがあるが、真面目に取り組めば現在の教科書は終わらない。ある程度の知識量低下は不可避と思われる。大学入試の改革と共に現在とのバランスが大切になる。●「アクティブ・ラーニング」という方法をやれば良いと考えている人が多い。教科・科目・単元に合う方法を考え、その結果ALがマッチすればやれば良いだけのこと。●何か特別なことを行わなければALにならないと判断され、物事の本質が理解されない不安がある。一斉授業でもALが成り立っている場合もある。●教科による特性があるため、なかなか教科を越えて学校全体の研修になりにくい。加えて、ALの導入方法ではなく指導目標が達成されたかどうかの評価について十分に検討されていない。●大学入試に向けた指導との関連性が強く感じられない。フリーコメント「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」結果詳細は リクルート進学総研サイトの「レポート・調査」、もしくは「キャリアガイダンス vol.416 2017.2」でご覧いただけます(http://souken.shingakunet.com/)。(%)0204060802016年 全体40%未満・計40~70%未満70~95%未満95%以上【大短進学率別】図表6 アクティブラーニングの視点による授業改善はどんな力の向上につながると思うか (全体/複数回答)図表5 アクティブ・ラーニングの視点による授業改善に取り組んでいるか(全体/単一回答)調査数コミュニケーションスキルの向上主体性・多様性・協働性の向上思考力・判断力・表現力の向上学びに向かう姿勢の向上基礎的な学力(知識・技能)の向上キャリア形成能力左記の生徒の能力向上にはつながらない2016年 全体110562.762.356.745.618.57.72.1大短進学率別95%以上22157.967.053.444.816.74.53.270~95%未満30460.963.855.344.717.16.62.340~70%未満21064.363.360.550.014.89.51.940%未満・計35866.257.058.744.422.69.51.4※「2016年 全体」の降順ソート無回答0.4取り組んでいる・計 92.9把握していない 3.6取り組んでいない 3.2教員個人で51.1教科で17.2学校全体24.5(%)

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