カレッジマネジメント204号
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57リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017いは有名校である早稲田に合格することがゴールになってしまう受験層は、入学後燃え尽き症候群に陥る傾向が比較的強く、GPAが低い等修学上の問題を抱えることもままある。そして何より、建学以来全国から多様な学生が集い切磋琢磨する環境がバイタリティの源泉だった早稲田にとって、多様性の欠如は大学のアイデンティティに関わる問題である。そうした懸念点が、入試に多様な尺度が必要との議論へ発展したのだという。そうした背景もあり、新思考入試では地方の学生に焦点を当てたものが多く、評価する対象も学力だけでなく、高校までの生活やスキル・マインドを重点的に測るものが多い。高次のものでなくても自ら課題を設定し、探求する実践を踏み、思考を深める経験をしてきている層が欲しいという。沖教授は、「社会の変化に対応しながら大学が求める学生像を明確にする一方で、早稲田で全学的な基盤教育を主に担うのは、グローバルエデュケーションセンター(GEC)。Vision150で掲げるグローバルリーダー育成のため、2013年に設置された。早稲田生であれば学部を問わず全員必須のスキルを「WASEDA式アカデミックリテラシー」と位置付け、「Tutorial English」やアカデミック・ライティング、数学・統計等に至るまで、様々なスキル設計と、リベラルアーツ教育プログラムを提供している。各学部はこうした共通教育部分との連携を踏まえながら学部独自の基礎教育を設計し、学部教育の質を保証するPDCAを回す。学部の個性を活かしながら、不足するものについてはチューニングを行える体制だ。その一方で、全学的な教育成果検証のため、2014年には全学IR組織である大学総合研究センターも設置された。前述した新思考入試に関連する体制と合わせて、徐々に大学の内部に横串を刺す体制が整備されてきたと言えるだろう。早稲田らしさを損なわず、課題を解決する人材確保を行い、また時代が要請する人材育成を行うための基盤を構築する。中長期計画により方向性は示された。私大の雄の今後の動向を見守りたい。(本誌 鹿島 梓)高校時代の成長や経験を大学教育にきちんと接続する必要がある。だからきちんとそうした経験を生徒に積ませてほしいという、高校側へのメッセージでもあります」と言う。新思考枠の入学者については、入学後の教育や就職キャリアにも紐付けながら、独自の能力開発を遂げていくことを想定している。ただ、そうした独自カリキュラム等を設計し拘束するというよりは、最低限の枠組みは用意しながら、最終的には学生個人が自分に必要なものを自ら選んで意思決定できるよう、設計に自由度を持たせるという。全学組織の整備が大学像の明確化につながる早稲田のように大規模かつ学部自治が強い大学で、大学全体を見据えた体制を整備することは言うほど簡単なことではない。しかし、Vision 150では、そうした組織変革も含めた大きな地図を描いている。現在※学生の入学前から入学後の学習を始めとする様々な経験、卒業後までのプロセスを、データ基盤を活用しながら、統一した理念のもとで企画・実践する大学マネジメント手法 ※網掛け部分が新設の機能入試に係る調査・入試方法の開発と学部に対して助言や改革案の提案を行う入学者選抜機能を有し、小規模な新思考入試を実施する入学センター 実施グループ 広報グループ システムグループ入学センター 国際アドミッションズ オフィス入学者選抜オフィス(2014.4発足)入試開発オフィス(2013.6発足)入試開発検討会(2013.6発足)①入試に係る調査分析及び結果の検討②入試方法の開発と改革の提案全学アドミッションズ会議(既設)学部・研究科受 験 生新思考入試入  試入学センター入学センター長選抜判定候補者選抜出願提案管理・運営データ等提供助言・改革提案委員の選出出願入学入学調査結果の提供、原案の提供開発方針の指示改革案の提示等【既設組織】【新設】図表1 早稲田大学入学センター体制図

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