カレッジマネジメント204号
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59リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017起業マインドの醸成を取り入れたことが挙げられる。社会からの要請としてもう一つ、地域の国立大学に必須なのが、地元就職の増加だ。山口県は中国地区の県の中で最も若者の流出が多い県であり、特に女性の流出が深刻だという。県内12高等教育機関、地方自治体、企業等によるCOC+事業「やまぐち未来創生人材育成・定着促進事業」では、2014年度(2015年3月卒)の卒業生の県内就職率が33.07%のところ、2019年度には43.16%へと、5年で10ポイント増加させるのを事業目標の一つとしている。そのためのプログラムが、やまぐち未来創生リーダー(Yamaguchi Frontier Leader: YFL)育成プログラムだ。1年次では「山口と世界(やまぐちの歴史・文化を学ぶ)」「やまぐちの行政・経済を学このプログラムを修了した学生は、COC+参加の12高等教育機関共通で「YFL」と認定される。さらに、学びや活動の記録をする「YFLパスポート」によって、学生の質保証を行うという。「就職する際にも、YFLパスポートを見れば、その学生の質がきちんと保証されているかどうかが、企業にも分かるようになっています」。YU CoB CuSで学習成果を可視化ではこの6つの力を各学生がどれだけ持っているかを、どのように測定・評価するのか。ここで登場するのが山口大学独自のシステムであるYU CoB CuS(山口大学能力基盤型カリキュラムシステム: Yamaguchi University Competency-Based Curricular System)だ。「アクティブラーニング等山口大学独自の授業で身に付く能力と、行動力の種類を可視化するシステムで、全学で導入しようとしています」。授業科目ごとに、どのような能力が修得できるかが設定されており、その達成度で評価が行われる。YFLの科目であれば6つの力をそれぞれどの程度身に付けたかが、レーダーチャートで可視化される。YU CoB CuS は、2014年度の文部科学省「大学教育再生加速プログラム」テーマII「学修成果の可視化」の取り組みから生まれ、その後、2015年度のCOC+採択を受けて、YFLのぶ」の「山口学」ともいうべき科目等で、山口県のことを学ぶ。2年次では他大学の学生と一緒に地域に出てフィールドワークを行い、協働力やイノベーション創出力等を養う。3年次では長期の課題解決型インターンシップだ。YFL育成プログラムは「地域が求める6つの力」を育成することを明確にしている。「1 やまぐちスピリット」「2 グローカルマインド」「3 イノベーション創出力」「4 協働力」「5 課題発見・解決力」「6 挑戦・実践力」の6項目は、「山口県の企業さんに、『どういう人材が欲しいですか』というアンケート調査をしてまとめたもの」という。「今までは大学主導で作っていたカリキュラムを、企業の希望を主導にして作った。ご希望のプログラムで育てた人材ですので、これは我々も企業さんにすごく強くアピールできます」。山口大学・学士課程教育の質保証体系大学入試(一般・推薦・AO)「驚き、個性、出会い、夢を発見し・はぐくむ・かたちにする人材の育成」DP(Diploma Policy)達成正課教育正課 外教育学士課程教育(学士)キャリア学習(学内業界・企業研究会、個別相談対応、学内企業説明会、各種講演会・イベント等)おもしろプロジェクト(PBL型学習)地域協働・ボランティア活動企業等インターンシップ(短期~長期)海外留学(短期~長期)学生スタッフ活動(図書館学生協働、学生FD、広報学生スタッフなど)教養コア系列英語系列一般教養系列専門基礎系列教職基礎系列教養展開系列(国際・地域・知財)キャリア教育(知の広場、キャリア教育)COC+事業 やまぐち未来創生リーダー(YFL)育成プログラム導入科目 卒業研究基幹科目応用科目学生参画幅広い教養・専門知識社会人基礎力 FD・SD学習成果の可視化 : YU CoB CuS(Yamaguchi University Competency-Based Curricular System)学修到達度調査・学修行動調査(汎用的能力測定)1年次2年次3年次4年次入口出口
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