カレッジマネジメント204号
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6リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017まず近年の認証評価について、認証評価機関の評価基準ならびに大学の受審状況及び認定状況を確認しておこう。表1は、第2サイクルの大学基準協会、大学改革支援・学位授与機構、日本高等教育評価機構の評価基準が第1サイクルからどう変わったのかを一覧にしたものである。ここでは大項目のみの掲載に留めるが、注目すべき点が2つある。まず1つが、大学基準協会が「内部質保証」を、大学改革支援・学位授与機構が「教育の内部質保証システム」を、それぞれ基準に盛り込んだことである。本稿は第3サイクルの認証評価の改革のポイントとして内部質保証を取り上げるが、実は第2サイクルで既に2つの評価機関が内部質保証を基準に取り入れていたことは、後に述べるように認証評価機関の意識の高さを物語るものでもある。しかしながら、実際の評価結果に見る内部質保証の評価は、体制の整備に力点があり、大学がその重要性についての認識を持つことができたのかは疑問が残る。特に内部質保証のように大学を俯瞰的に評価するには、個別項目の積み上げではなく、大学の教育研究活動全体の中で内部質保証が有効に機能しているかといった視点で大学が捉えることができるような制度設計を求めたい。もう1つが、日本高等教育評価機構の評価基準が以前大学、短期大学、高等専門学校に対して、教育機関全体を対象とする認証評価(機関別認証評価)を7年以内ごとに受けることが義務づけられてから13年が経過した。認証評価制度導入当初、文部科学省は、認証評価において大学設置基準や認証評価機関の評価基準の順守状況の確認に神経を尖らせ、克明な記述による大部の評価結果の公開を認証評価機関に求めていた。設置認可による大学の質の維持から、事後チェックに多くを委ねることへの不安も大きかったことだろう。その後、認証評価は多様な大学の状況に応じた評価や学習成果を重視した評価、国際的な通用性のある評価等、法令チェックから学生の学習を中心とした教育の質の評価へと認証評価の期待に変化が見られるようになっている。こうした中、まもなく第3サイクルを迎えようとしている機関別認証評価は、どのように変わろうとしているのか、また、変わることが求められているのか。直近の法令改正や海外の状況との比較を通して考えていきたい。なお、ここでは4年制大学の機関別認証評価に焦点を当てて論を進めることとしたい。認証評価の状況1前田早苗千葉大学 国際教養学部 教授第3サイクルを迎える認証評価の課題と展望

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