カレッジマネジメント204号
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9リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017とで、大学の質保証を実質化しようという考え方が見て取れる。まず3ポリシーに関して、大学に何が求められているのかを確認しよう。中央教育審議会大学分科会大学教育部会が、3ポリシーの設定とその運用について作成した『「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)、「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)の策定及び運用に関するガイドライン』(平成28年3月31日)では、3つのポリシーの一般的な解釈として表3のように定義している。この定義によると、大学は既に3つのポリシーを設定しているからといって、簡単にやり過ごすことができる内容ではないことが分かる。なぜなら、これまでの大学の3つのポリシーは、どちらかというと抽象的・理念的なものが多かったからだ。いわばこういう学生を育てたいという理想のようなものである。しかし、表3に見るように、今回義務化された3つのポリシーは、学生の学習成果中心で設定しなければならない。大学はどのような力を身につけた学生に学位を授与するのかを具体的に明示しなければならないし、その力をつけるためにふさわしい教育課程を編成しなければならない。さらに、その妥当性について、学習成果の評価によって確認する方法も持つことが求められている。そして、入学者には学位取得に向け、入学する前に身につけておくべき学力についても明示することが重要となっている。次に、認証評価に関する法令がどのように改正されたのかを見てみよう。学校教育法は、大学に対しては認証評価を受けることを義務づけているだけで、認証評価を具体的にどのように行うかについては、「学校教育法第110条第2項に規定する規準を適用するに際して必要な細目を定める省令」で認証評価機関に対して詳細に規定している。この省令の改正によって、2018年4月から認証評価機関は新たに「卒業の認定に関する方針、教育課程の編成及び実施に関する方針並びに入学者受入れの方針に関すること」と「教育研究活動等の改善を継続的に行う仕組みに関すること」を認証評価の対象とすることが盛り込まれた。この「教育研究活動等の改善を継続的に行う仕組みに関すること」が、いわゆる内部質保証のことである。さらに、内部質保証については重点的に評価することが認証評価機関に義務づけられた。3つのポリシーが中教審答申を通じて初めて登場したのは、2005年1月の「我が国の高等教育の将来像(答申)」であり、そこでは早急に取り組むべき施策の1つとして3ポリシーの設定が提言されている。この答申は、高等教育計画の策定と各種規制の時代から将来像の提示と政策誘導の時代へ移行することを打ち出した答申であり、そこに3ポリシーが提示されたことは留意すべき点である。内部質保証に関しては、2008年12月の「学士課程教育の構築に向けて(答申)」において第三者評価で一層重視されるものとして取り上げられている。先に述べたように、第2サイクルの認証評価では、機関別認証評価機関である大学基準協会、大学改革支援・学位授与機構、日本高等教育評価機構のいずれも、特集認証評価第3サイクルに向けてディプロマ・ポリシー各大学、学部・学科等の教育理念に基づき、どのような力を身につけた者に卒業を認定し、学位を授与するのかを定める基本的な方針であり、学生の学修成果の目標ともなるもの。カリキュラム・ポリシーディプロマ・ポリシーの達成のために、どのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価するのかを定める基本的な方針。アドミッション・ポリシー各大学、学部・学科等の教育理念、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに基づく教育内容等を踏まえ、どのように入学者を受け入れるかを定める基本的な方針であり、受け入れる学生に求める学習成果(「学力の3要素」についてどのような成果を求めるか)を示すもの。注)下線は筆者表3 ガイドラインにおける3つのポリシーの定義(2)内部質保証の重視(3)法令改正をどう読むのか

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