カレッジマネジメント205号
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33リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017(吉田 文 早稲田大学教授)共に高めることであるという。確かに、近年の中央教育審議会の答申における提言では、学生の主体的な学習が促され、学士力として、知識や汎用的技能に加えて、態度や志向性の涵養が求められている。東洋大学の建学のミッションは、現代に通じる不動のミッションなのである。こうしたミッションがバックボーンにあることは、近年の3つのポリシーの設定にも役立ったことだろう。既に全学科の3ポリシーが大学のWebサイトに掲載されているが、それを見ると、学科ごとの特色があることはもちろん、それ以上に、この建学のミッションが共通基盤にあるように思う。先述した理事会での議論の際も、学内外の意見を広く取り入れつつも、東洋大学として守るべき理念が軸となり、なすべきことの取捨選択の判断がなされているのではないだろうか。また、教育の質を向上させるためには、教員の教育・研究能力の向上も必要である。そのため、2016年度から、人事考課には用いないことを条件に、教員の活動評価制度も導入した。教員一人ひとりの自己点検・評価に基づき、教員個人の諸活動のみならず、所属する学部・学科の活性化と発展に資する活動を評価する制度であるという。教員を評価することに対してはとかく反対が強いものだが、学生を主体的に学習させるためには、教員も変わらざるを得ない。Beyond 2020とさらなる挑戦国際化は計画に沿って着々と進展しているようだが、「国際化を進めるためには、まだまだ、課題はあります」と竹村学長は、手綱を緩めることをしない。当面の課題として、「学生の英語力向上は必要ですし、学修成果の測定も考えねばなりません。留学生を増やすことも課題ですが、そのためには、職員の国際化や学内文書の英語表記を進めねばなりません。また、教育の質的転換のためには、教員1人当たりの学生数を少なくして密度の濃い教育を行うことが不可欠ですが、これは人件費の増加が見込めないなかで工夫して進めていかざるを得ません」と、課題を列挙される。しかしながら、既に課題解決の道筋をあらかたつけられているのではないだろうか。大学のWebサイトは英語と日本語の両方で表記されており、いくつかの紙媒体の資料も同様である。各種の資料を日本語版、英語版と分けて作成するのが一般的ななかで、同一のページ内に両言語で表記されているのは珍しい。こうしたところにも、国際化の意気込みを感じることができる。2016年にはビジョン「Beyond 2020」を策定した。そのキーワードは、図表3にあるように、「グローバリゼーション」「イノベーション」「創造力」「人間価値」の4つである。「グローバリゼーション」とは、これからの時代に活躍するためのグローバルスキル、「イノベーション」とは、蔓延する社会の危機感を期待感に転換できる力、「創造力」とは、産官学連携により新たな価値を創造する力、「人間価値」とは、幅広い教養と専門能力に裏付けられた人格を意味し、こうした力を持った学生を育成することを目標として掲げた。ここにも、不動のミッションが通底していることと、それと共に、予測が困難な将来を見据えてのキーワードに、鋭敏な感応性を見ることができる。そして、2020年の先にあるのは、創設150周年となる2037年である。世界の大学ランキング上位に入ることが目標だ。まだまだ東洋大学の挑戦は続く。特集 学部・学科トレンド2017グローバリゼーション創造力イノベーション人間価値新時代において活躍できるグローバルスキルの育成研究者×イノベーターで、産官学連携を創造する社会全体の危機感を、期待感へ幅広い教養と専門能力による、確かな人格の育成を図表3 「Beyond 2020」で掲げる4つのキーワード

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