カレッジマネジメント205号
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35りない人材を育成していく狙いがあった。救急救命分野の強化も、同様の発想による。現代ビジネス学部の一つのコースだった同分野は、2016年からは健康科学部救急救命学科となった。西日本の4年制大学で初の学科である。もっとも、現在は「他にないもの」を強く意識しているわけではない。学内では「よそ様にもある学部・学科でもちゃんと勝負できるようになろう」という機運が高まってきた。この数年、教員たちが「総合大学」と口にするようになったことに象徴されるという。図表1にあるように、看護学部を設置した2005年以降、入学志願倍率は10倍を下回ったことがない。安定的な学生募集が可能となった自信の表れと見ることもできる。2013年からは、受験者数も1万人を超えている。人文・社会・自然の3分野のバランスのとれた総合大学を目指す方向性は、共学化の前後からあった。「総合大学」の実感を持つ上では、現代ビジネス学部の経営学科が1つの柱に育ってきたことが大きいようだ。その経営学科は、2015年に現代マネジメント学科を改組して設置されたが、大規模大学にもあるような経営学部経営学科と同じように、分かりやすい名称にする狙いがあった。2017年には定員を180人に増やしている。京都橘学園は、2014年に法人全体として第1次マスタープランを策定した。2015年から学園創立120周年の2022年まで8年間を対象としている。大学のビジョンの一つ、「安定的な志願者獲得」では「京都・滋賀・大阪北部での志願者拡大、全国エリアでの募集強化」を行うとともに、「5000人規模の学生数を実現」するという。実際、京都橘大学は、既設学部・学科の定員も一切減らしていない。むしろこの10年ほど、少しずつ増やしてきた。2017年4月に設置した国際英語学部も大きな目玉で、同年度入試の大学全体の志願者数は1万6866人と、前年比約50%もの増加であった(図表1)。入学定員は控えめに設定したが、他大学に比べても、英語プログラムを徹底化すべく、いくつもの特色を打ち出した独自の学部であると自負している。1年間の留学を必修とし、TOEIC®テスト730点は通過点に過ぎない。何よりも、英語で教える科目を担当する教員は経済・経営や観光を専門分野にしている。京都は外国から多くの人が訪れる。山科からは寺社巡りにも出かけやすい。同学部では、英語の運用能力を高めるだけでなく、観光ボランティア学園創立120周年へ向けたマスタープランリクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 201702000400060008000100001200014000160001800017年16年15年14年13年12年11年10年09年08年07年06年05年04年03年02年01年2000年(人)(倍)024681012141618学生数入学者数入学志願者数入学志願倍率215822341934238119026083537961786945688376937998892510776102471148916866121022121202920141929203021412487276629103164318533673642376240354221426321155.15.95.16.35.012.210.810.310.210.110.510.910.414.212.611.712.216.35435394404444456515837957628068438019491069974106011271100図表1 京都橘大学 規模推移(全学)特集 学部・学科トレンド2017

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