カレッジマネジメント205号
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36リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017等、地域社会に根差した形で、グローバル化に対応した人材を育成していくことを目指す。これを独立の学部で行うことが、大学開学当時の文学部英文学科の流れを汲む英語コミュニケーション学科の特徴を、どの方向に発展させていくか議論を重ねた末の一つの結論であった。2018年には、健康科学部に作業療法学科と臨床検査学科の2学科を新設する(設置届出書類提出中)。後者は京都の私立大学で初となる。これでこの数年、構想してきたことはまずは一段落ということになるのだが、申請中の入学定員増が認められれば、現在は3725人である収容定員は、上の2学科が完成年度を迎える2021年には4884人となり、5000人規模の学生数を掲げたマスタープランを実現できる見込みだ。全学教員の合意形成と職員の企画力大学開学50周年の記念コンセプトは「たちどまらない、たちばな。」というものだ。日本中世史がご専門の細川学長の目から見て、大学50年の歴史の中でも、やはり共学化の決意をしてからの十数年の変化が非常に大きいとのこと。特に看護学部の設置、さらには社会科学系の現代ビジネス学部設置(改組)である。改革を継続している同大学は、なぜ「たちどまらない」ことが可能なのか。京都橘大学は、いわゆるオーナー系私学ではない。梅本裕 現理事長も、もともと教育方法学を専門とする同大学の教員である。また、宗教系の大学というわけでもない。細川学長によれば、2つの要素が大きいという。1つは、部長会を中心とする全学的な合意形成である。各学部の長に加え、教務部長、学生部長、入学部長、学術情報部長が構成する部長会メンバーには、全ての学部の教員が揃っており、学内調整の重要な機構となっている。学長のもとに置かれた基本政策検討委員会も、部長会と多くのメンバーが重なっており、新学部・学科の設置等に向けて審議・検討を行う。この数年の例では、国際英語学部や救急救命学科の構想を検討したのもこの委員会である(図表2)。もちろん、個々の改革案に対して個人的立場では反対、という教員もいる。執行部から翻意を促すわけではなく、大学としての全体の合意を形成しつつ、前に進んできた。男女共学化の時に比べれば、全学的な合意のために多大なエネルギーを要することは少なくなってきている。もう1つの要素は、職員の奮闘である。新学部・学科の設置にあたっても、企画広報課による資料収集を含む周到な準備を抜きにしては、短期間での実現が困難であった。実は同大学は、開学して10年後頃、経営が相当厳しい時期があった。当時を経験した構成員は、今や教員だけでなく職員でもゼロだというが、その時の危機感は、言わばDNAとして受け継がれている。5000人規模の大学を目指すのも、大学が財政的にも安定してやっていくことの重要性を痛いほど理解しているためである。「第2世代大学」の成功事例本誌の読者にとっては、京都橘大学の置かれた経営環境についても気になるところである。スケール・メリットを活かすために学生数を増やし、一定の規模に達してからは拡大をやめ、大学の入学難易度の向上に力を注ぐことは、これまでも多くの私立大学に見られた行動パターンと言われる。図表2 意識決定の仕組み【検討・実行機関】基本政策検討委員会(事務局:企画広報課)委員14名(委員長・学長ー教員9名/職員5名)(常任理事+法人関係課の課長)事務局:企画広報課(総務課・人事秘書課・経理課・企画広報課)国際英語学部文学部発達教育学部現代ビジネス学部看護学部マスタープラン委員会法人事務局部長会大学評議会教授会全学教員懇談会学長・副学長常任理事会理事長健康科学部

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