カレッジマネジメント205号
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42リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017本稿では、2018年卒の大卒求人倍率調査(2017年4月26日発表)の結果についてご紹介したい。大卒求人倍率は前年よりわずかに上昇2018年卒の大卒求人倍率調査(大学生・大学院生対象)の結果によると、大卒求人倍率は1.78倍と、前年の1.74倍よりわずかに上昇となっている。(図表1)求人倍率は求人企業と民間企業に就職希望する学生数とのバランスで決まるので、両者の動向について見ておきたい。求人数は、前年の73.4万人から75.5万人へと2.1万人増加した。対前年増減率で見ると+2.8%であり、2015年卒以来4年連続増加しているが、増減率は前年より少し高くなっている(詳しくは図表1)。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年42.2万人から42.3万人とほぼ横ばいである(対前年増減率は+0.3%)。従業員規模間・業種間の倍率差の拡大今回の調査結果で何よりも特徴的なのは、従業員規模間と業種間において倍率差がさらに拡大し、人気のある企業に応募が集中していることである。図表2は従業員規模別の求人倍率の推移を表したものである。従業員規模300人未満企業では2018年卒6.45倍と、前年より+2.29ポイントも上昇し、過去の比較可能な時期では2010年3月卒(8.43倍)に次ぐ高さである。従業員規模300人未満企業と5000人以上企業の求人倍率差は6.06ポイントと、前年(倍率差は3.57ポイント)に続きさらに拡大し、2010年3月卒(倍率差は8.05ポイント)に次ぐ状況である。倍率差が拡大する、即ちミスマッチがある状況の問題はこの報告で毎年指摘していることであるが重要なので以下で改めて説明したい。また図表3の業種別の求人倍率を見ると、流通業は11.32倍と、前年の6.98倍より+4.34ポイントと大幅に上昇した。過去の比較可能な時期(1996年3月卒以降)のなかでは、2008年3月卒の7.31倍を超え、最も高い倍率となっている。また、建設業の求人倍率は9.41倍と、前年の6.25倍より+3.16ポイントと大きく上昇した。比較可能な時期(2010年3月卒以降)において最も高い水準となっている。流通業や建設業においては、企業にとって採用しにくい環境が続いていると言える。リクルートホールディングス「ワークス大卒求人倍率調査(2018年卒)」大卒求人倍率で見る2018年卒の就職動向調査目的:2018年3月卒業予定の大学生及び大学院生に対する、全国の民間企業の採用予定数の調査、及び学生の民間企業への就職意向の調査から、大卒者の求人倍率を算出し、新卒採用における求人動向の需給バランスを明らかにする。【企業】調査対象:従業員規模5人以上の全国の民間企業 7198社調査項目:2018年3月卒業予定者の採用予定数調査期間:2017年2月7日〜3月15日回収社数:4509社(回収率62.6%)【学生】2018年3月卒業予定者を対象とした「就職に関するアンケート」の結果をもとに、従業員規模別、業種別の就職希望者数を推計した。集計サンプル数:大学生 1,237人  大学院生 385人調査期間:2017年3月2日〜3月9日調査概要戸田淳仁 リクルートワークス研究所 主任研究員・主任アナリスト

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