カレッジマネジメント205号
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50リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあると言えるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取組事例を積極的に紹介していきたい。「日本にない大学」掲げ、2009年公立大学法人へ今回は、開学から20年の新しさと、学生数約2000人の規模の小ささを利点と捉えて独自の試みを続ける高知工科大学で、磯部雅彦学長にお話をうかがった。昨今私立大学の公立化が進んでいるが、いち早く2009年度に公設民営大学から公立大学法人に転じたことでも注目を集めている。高知工科大学が1997年度の開学以来現在まで一貫して掲げる理念は「日本にない大学」。大学のあるべき姿を教育・研究・社会貢献のいずれにおいても常に追求し、世界一流の大学を目指す、という意味だ。2015年度に就任した磯部雅彦学長は、特に教育について、「一言で言えば、とにかく力のある大学生を社会に相応の待遇で送り出したいということ」と語る。就職実績は就職率99%〜100%と好調で、あえて課題を挙げるなら県内就職率だ。「入学者の割合では県内が25%ぐらい。地元で就職したいという学生はたくさんいますが、高知県内では、工学の分野、製造業で求人する企業がなかなか少ないものですから、県内就職率が2割程度にとどまっています」。県外からの学生は、出身県に帰るより、東京や大阪に行くケースが多いという。基礎力をつけるため授業を厳選「人を育てるのではなくて、人が育つ大学にしたい、という教育理念があります」と言う磯部学長が、他大学とは異なる施策として挙げるのは「授業時間集中化」「教育講師制度」の2つだ。2017年度に始まった「授業時間集中化」は、科目数を大幅に減らし、授業を原則として3時限目までに集中させるというもの。基礎的な力をつけるために授業科目を厳選したという。「基礎的とは易しいという意味ではなく、学生が一生を通して使えるきちんとした学力・能力という意味です。あれもこ❽高知工科大学「人が育つ」教育改革を支える、小回りが利く大学規模と私学経営の源流磯部雅彦 学長

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