カレッジマネジメント205号
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54南アジアの大国インドは、600の大学と3万3000のカレッジによって構成される世界2位規模の高等教育システムを有す。インド政府の教育政策は「アクセス、質、公平性」を基本原則として掲げており、そのうちアクセスについては、2017–18年までに粗就学率※を25.2%にまで引き上げ、2020年には30%を達成することが第12次5カ年計画(2012-2017年)で目指された。中間層の増加に伴う民間の教育機関の急速な拡大によって、2015-16年度の粗就学率は24.5%にまで増加し、インドの高等教育はエリート段階からマス段階へと移行しつつある。一方、インドの高等教育は、質と公平性という観点からは十分な成果を挙げているとは言えない。インドの高等教育機関といえば、連邦政府が国家重要機関として設置した理系の最難関大学、インド工科大学(IIT)が取り上げられるが、多くの高等教育機関の教育や研究のレベルは、政府・民間に拘わらず、国際水準から遠くかけ離れたレベルにあり、「インフラが粗末」「カリキュラムが時代遅れで不適切」「情報化の進展に対応できていない」等と評されているのが現状である。また、出身家庭の経済的・社会的地位の違いや都市と農村・遠隔地域の間で、受けられる教育の質に大きな差が見られ、高学歴失業も社会問題となっている。現在の連邦政府の首相ナレンドラ・モディは、グジャラート州知事として行政のスリム化や海外企業の誘致等新自由主義に近い改革を進め、同州経済を飛躍的に発展させた実績を持ち、改革を実行する指導者として期待されている。以下ではインド版大学ランキングや大規模公開オンライン講座(Massive Open Online Courses, MOOCs)の開発といったモディ政権下の取り組みも含め、「知の超大国」を目指す南アジアの大国インドが、国際社会の潮流の中でいかに教リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017「知の超大国」を目指すインドの高等教育戦略小原優貴東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部 附属教養教育高度化機構 アクティブラーニング部門 特任准教授インド工科大学デリー校のキャンパスマス化するインドの高等教育の実態図1 インド高等教育の粗就学率推移05101520253015-1614-1513-1412-1311-1210-1109-1008-0907-0806-0705-0604-0503-0402-032001-02(%)(年)出典:http://mhrd.gov.in/statist8.19.09.210.011.612.413.113.715.019.420.821.523.024.324.52

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