カレッジマネジメント206号
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50リクルート カレッジマネジメント206 / Sep. - Oct. 2017ファクトを集積することが大事だという。その中から吟味したものをプレスリリースするが、近大はこのリリース数が極めて多いのも特徴だ。図表2にある通り、新聞全紙において、年間474件ものリリース数、約5割の掲載件数を誇る。土日祝を除くと1日に2件ペースでリリースしている計算だ。14学部23研究所等から寄せられる豊富な情報のもと、広報の多大な尽力で実現している数値と言えるだろう。アカデミックシアターで体現する建学の理念現在近大は2020年まで約500億をかけて東大阪キャンパスを開発する「超近大プロジェクト」に取り組む。2017年4月にはアカデミックシアターが完成した(写真)。「文理の垣根を超えて社会の諸問題を解決に導く」をコンセプトに、5つの建物で構成されているこの建築に、実は近大の理念が込められている。近大の建学の精神は、「実学教育」と「人格の陶とうや冶」である。見てきたように実学が目立ちがちだが、人格の陶冶こそが教育の真髄であると塩﨑学長は話す。「そこに最も寄与するのは、多くの考えに出会うこと。ここで軸となるのは本です。どんな時代でもどんな場所でも、先人に学び多様な考えに触れ、自らを磨ける人間が強いのです」。ただ、活字離れが叫ばれる昨今、出会いの形には最大限の工夫が見られる。例えば、ビブリオシアター内のDONDENに設けられた書棚には漫画が多く並ぶが、そのすぐ横に関連テーマの新書も混在する。まずは読みやすい漫画から入り、興味が出た際に関連書籍に移ることができるようになっているのだ。そうやって知識を広げ、点と点が線になって所謂「知識のどんでん返し」が起こることを期待してのDONDENとのネーミングなのだという。漫画だけで2万2000冊も収蔵されているというから驚きだ。ほかにも松岡正剛氏監修の7万冊ものセレクトブックを収蔵したNOAH33では、従来の十進分類法に基づく図書分類ではなく、近大独自の近大INDEXによってテーマ別の読書を楽しむことができ、リコメンド本が掲示されていたり、黒板に本の感想が書いてあったりと、図書館というより個性的な大型書店のような様相である。時代や科学の変化に合わせて、情報収集の仕方は変わる。文字よりも絵のほうが親しみやすいのであれば、慣習に囚われず柔軟に取り込めばよい。塩﨑学長は、「時代や社会に沿って変わるものと変わらないものがあります。可変と不変をきちんと持ち合わせて、不変部分はじっくりと磨き、可変は大胆に変革していくことが、現代以降のグローバル化に対応できる人材となるポイントなのではないでしょうか」と軽やかに語る。大事なのは他者や新しい世界に興味を持つことで、そこからあらゆる可能性が広がる。それが漫画だろうとテレビだろうと手法は関係なく、また図書館は分厚い本しか置かない場所である必要もない。大学は学生が育つ場所であるのだから、その目的に即した設計がなされて当然である―こうしたフラットな姿勢が評価されているのもあってか、今回の調査結果のほかにも、近大は今年に至るまで4年連続で志願者数日本一となっている(2017年3月大学通信調べ:総志願者数は図表3)。減少が続く時期もあったが、折々に新増設・改組を重ね、社会ニーズを取り込んで人気を維持向上させており、確実に高校生の支持を得ていることが分かる。攻める大学経営矢継ぎ早に多岐にわたる改革を打ち出す近大だが、その<全紙>平成28年度リリース件数掲載リリース掲載状況近畿大学47423349.20%<主要5紙>平成28年度リリース件数掲載リリース掲載状況近畿大学47413528.50%図表2 プレスリリース状況アカデミックシアター全景※近畿大学作成

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