カレッジマネジメント206号
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54リクルート カレッジマネジメント206 / Sep. - Oct. 2017施設となっていて、講義室や実験室はもちろんのこと、学生の自発的な学習を支援しイノベーションやデザインの創発を促すべく、ラーニング・コモンズ(6階)、ロボティクス&デザインセンター(8階)、デザインスタジオ(17階)といった学習・研究施設が整備されている。実際にキャンパス内を歩いてみると、機械や電気といった伝統的な工学分野が持つ堅いイメージはあまり感じられない。ロボット工学やデザインを学ぶにふさわしい洗練された空間が広がり、市民や地域との交流が十分意識された開放的な都市型キャンパスとなっている。それにしても、これだけの施設だ。その整備に相当な資金を要したことは想像に難くない。近年「都心回帰」を進める私立大学は珍しくないが、少なからぬ資金を投じて、いま大工大が梅田への進出を決めた理由はどこにあるのだろうか。そもそも梅田構想は3〜4年前に始まったのだという。西村学長は、背景として、少子化による、いわゆる「2018年問題」への対応も当然あるが、それ以上に大工大が「市民志向」を強化していく必要性があったことを強調する。その意味で、梅田キャンパスは産官学連携の場であるだけでなく、市民も巻き込んでデザイン思考で新しいものを創っていける知の拠点であり、「前線基地」だと西村学長は表現する。JR大阪駅・阪急梅田駅の乗降客は一日平均240万人余りだ。情報の最先端に触れ、社会との接点となり得るのが梅田キャンパスだと言っていい。学部学科も最先端の知を扱い、教育していく開かれた場になっている。実際、梅田に工業大学ができたことで社会的な発信がしやすくなったそうだ。大阪にもものづくりの町があり、地元の茶屋町を中心に多様な企業から話が来るようになったと西村学長は語る。それを象徴するように、道路に面した1階入口のギャラリーでは、企業と共同開発したロボット介護機器が展示・実演されている。なるほど、人に優しく、人を大事にする技術の創出を目指すロボット工学やデザイン工学だからこそ、人と情報が集まる梅田という経済中心地で展開することに意義があると言えそうだ。さらに、JR大阪環状線内に立地する大学数は限られていることを踏まえれば、他大学との差別化を図って競争力を保持するという点においても梅田進出の意味は極めて大きかったと言える。こうして、梅田に拠点が整備され、そこで「デザイン」を含む教育研究が展開されるようになったことで、今後は学生の志願動向にも変化が生じる可能性が高い。過去10年の志願者数の推移を振り返ってみると、全体として確実に右肩上がりで増加してきていることが分かる(図2)。特に、女子志願者数はここ10年で3.2倍となっていて、男子の1.8倍増に比較しても伸びが顕著だ。前述の通り、人のQOL(生活の質)の向上に寄与する空間とプロダクトのデザインについて学び研究する「空間デザイン学科」が梅田キャンパスに設置されていることは、女子学生の入学増につながっていく可能性を秘めている。実際に、現在同学科のほぼ40%が女子学生だという。さらに、交通至便な梅田キャンパスができたことで学未来にイノベーションを起こす「デザイン思考」0200040006000800010000120001400016000180002017201620152014201320122011201020092008(人)(年度)9552764100012271452137516232078199221412475108021255013145135661365915103143991560417058女子男子図2 志願者数の推移

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