カレッジマネジメント206号
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82大学をより良き方向に向かわせるために、構成員一人ひとりの意識を変え、能力を高めていくことが不可欠であることは言うまでもないが、学内のどの層に働きかけていくことが最も効果的なのだろうか。ガバナンス改革では、学長のリーダーシップが強調されるとともに、それを支えるためのスタッフの能力開発が重視され、平成28年3月31日公布(同年4月1日施行)の「大学設置基準等の一部を改正する省令」において、SD(Sta Development)が義務化されている。当然、各大学は研修の機会を増やす等、SDの取り組みの強化を図るだろう。文部科学省は、対象となる職員について、「事務職員のほか、教授等の教員や学長等の大学執行部、技術職員等も含まれる」とし、「SDの具体的な対象や内容、形態等については、各大学等において、その特性や実態を踏まえ、各職員のキャリアパスも見据えつつ、計画的・組織的に判断されるべきこと」を留意事項として記している(平成28年3月31日付高等教育局長通知)。しかしながら、国公私合わせて780校近い大学のうち、計画的・組織的にSDの仕組みを構築し、実施できる大学がどれだけあるだろうか。人材育成に対する法人・大学トップの信念や情熱、それを具体的なシステムに展開できる構想力や設計力、それに基づく育成施策を計画的に推進し得る実行力の3要素が揃わなければ、形を取り繕っただけの実効性の乏しいSDにとどまってしまうだろう。大切なことはSD義務化を学内においても貫くこと。単に研修機会を増やし、提供するだけではなく、特定の層や対象者に研修を義務づけることを徹底すべきである。筆者自身、FD研修やSD研修で大学を訪れることがあるが、多くが自由参加であり、参加率は高くない。国公私各大学団体、大学コンソーシアム、各種団体等が開設するセミナーも、大学による推薦の有無の違いはあるが、参加するか否かは本人の意思による場合が多い。その結果、自己啓発に対する各自の考え方や職場環境の違いなどにより、構成員とりわけ職員の間で、研修機会の活用度に大きな差が生じることになる。かといって、全ての職員に等しく研修参加を義務づけることも現実的ではない。自己の意思で参加できる学内外の研修機会を広く用意しながら、受講を義務化する階層別研修や職能別研修の機会を設け、そこでの学習を徹底することが望ましい。特に、階層別研修として部長層と課長層を対象にした研修機会を設け、受講を義務化することで、組織運営に関する知識・スキルを習得させ、実践に繋げていくことは、SD義務化の目的である大学運営の高度化を進めるうえで、決定的に重要な意味を持つ。学内のどの層に働きかけることが最も効果的かとの冒頭ミドルマネジメントにフォーカスした人材育成大学を強くする「大学経営改革」大学運営の高度化を担う部課長をどう育てるか──強い部課長が強い大学を作る吉武博通 公立大学法人首都大学東京 理事リクルート カレッジマネジメント206 / Sep. - Oct. 201772SD義務化を受講の義務化として学内で徹底する

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