カレッジマネジメント206号
79/88

83の問いに改めて答えるとすれば、教育研究組織であれば学部長・研究科長と学科長・専攻長、職員組織であれば部長層と課長層であろう。一般的に、マネジメントは「トップマネジメント」、「ミドルマネジメント」、「ロワーマネジメント」と大きく3つの層に分けられる。大学で言えば、理事長・常任理事、学長・副学長・事務局長といったトップマネジメントの役割が重要であることは言うまでもない。また、教育研究の質や大学運営に係る業務の質は、より直接的には個々の教員・職員の意識や能力に依存する。大学にロワーマネジメントという概念が相応しいかどうかは別にして、第一線の能力開発も大きな課題である。その一方で、トップマネジメント人材の育成は短期間に効果が表れるものではなく、またその選抜・任免はガバナンスの視点から検討されるべき課題である。ロワーマネジメント層に対する研修も、職員組織の場合を考えると、そこで学習した事柄を活かし、発展させるための業務環境や職場環境が整っていなければ、職員の成長には繋がらない。それに対して、ミドルマネジメントは、トップと第一線を繋ぐ重要な結節点であると同時に、トップマネジメント人材の供給源であり、ロワーマネジメントにとっては当面のキャリア目標ともなる。このような点からも、ミドルマネジメントにフォーカスした人材育成に力を入れることは戦略的に極めて重要な意味を持つものと考えられる。本稿の目的はSD義務化を出発点に、主として職員の人材育成の在り方を検討することにあるので、以降は、大学運営における部課長層の役割と育成について考えてみたい。一括りに「部課長」と呼んでも、部長と課長でその役割は異なる。課長はミドルマネジャーだが、部長はシニアマネジャーと呼ぶ方が相応しい面もある。組織によっては、課長のプレイヤーとしての側面が増し、かつて課長が担っていたマネジャーとしての役割が部長に移りつつあるという状況も生じているだろう。部下を持たないスタッフ的あるいは専門職的な課長相当職もあるだろう。これらの実態を一旦脇に置いて、部長と課長の本来的な役割について考えてみたい。最初は課長についてである。企業、行政、大学など多くの組織において、「課」は業務遂行の基本となる単位であり、その組織単位を率いるのが「課長」である。課に期待される役割や位置付けられた機能を理解し、具体的な業務に展開し、優先順位をつけ、配下の職員に割り付け、その進捗を管理しながら、成果に結びつけていくのがその第一の役割である。業務を遂行する過程で、問題を発見するとともに、その解決を含めて新たな施策を企画・立案し、推進する。加えて、業務の質の向上と効率性の追求の観点から仕事の改善を促すことも課長には求められる。「課長」が担うべき5つの基本的な役割リクルート カレッジマネジメント206 / Sep. - Oct. 2017部長の役割・課長の役割1)トップの方針伝達と業務遂行の指導・助言2)トップによる構想や決定に対する補佐・助言3)部内外の調整とプロジェクト創出4)ステークホルダーや社会との積極的な関わり5)人材育成1)課機能の具体的業務への展開と成果の実現2)問題発見、企画立案、改善促進3)課を超えた調整と連携・協力4)職場規律の維持と健全な職場環境の確保5)人材育成【部長の役割】【課長の役割】トップマネジメントミドルマネジメントロワーマネジメント(第一線)

元のページ  ../index.html#79

このブックを見る