カレッジマネジメント206号
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が効果的であるという研究が進んでおり、その機会を提供する場が8号館であったという。もう一つ、自立学習を支えるのが、ELI(English Language Institute)語学専任講師の存在だ。英語教育に関する修士以上の学位を持つ、約60名のネイティブ教員が、1~2年の英語科目の授業を英語で行う。ELIは6年の任期制で、毎年十数名を世界中から起用する。若い教員が中心で、最先端の教え方に関心を持ち、高いITスキルも備えている。また海外ではFDが当たり前なので、テクノロジーや教授法のワークショップ等を活発に行い、互いに伝授し合うという。彼らが8号館に常駐し、授業内外で自立学習をサポートしてくれるのだ。地上2階建ての館内は、ニューヨーク・マンハッタンのイメージ。大学内とは思えない異国の世界が広がる。1FにはSALCと、1~2年生の英語の必修科目の講義用教室であるBLS(Blended Learning Spaces)がシームレスに並ぶ。教室を出ても英語をしゃべり続けたいと学生に思わせる仕掛け作りだ。SALCは、中央から左側を静の空間、右側を動の空間に分け、静の空間には、一人や小グループで勉強できる「Focus Space & Corner」等を配置し、動の空間には、グループで会話や学習が楽しめる「Meeting Point」「Study Rooms」「The Workshop」等を配置。12名の専任の教員がラーニングアドバイザーとして常駐する「Advising Spaces」では、学生の相談に合わせ最適なアドバイジングを受けられる。1Fがマルチリンガルであるのに対し、2Fは英語オンリーの空間。教員や留学生と会話を楽しむ「English Lounge」や、よりアカデミックな指導を教員に受けられる「Academic Support Area」を配置した。多くの学生が8号館を楽しんで活用し、時間帯により満席になることも。オープンキャンパスでは、高校生が驚きから言葉を失うそうだ。今後は、「これまで一定の仮説に基づき体制作りをしてきた自立学習の検証を学術的に高め、日本人の英語教育がいかにあるべきかを将来に示していきたい」と酒井学長。外大として後発だからこそ、他校とは違う、将来の当たり前を今やるんだという思いを胸に、挑戦は続く。(取材/本誌 金剛寺千鶴子・文/能地泰代)神田外語大学は、2017年4月に8号館「KUIS8」をオープンした。開学30年と、全国に7つある外語大学の中で最も新しい同大学は、教育の特徴として、全学生に国際共通語としての英語を学ばせている。酒井邦弥学長は、「語学は一生かけて学ぶもの。大学の4年間はHow to learnを教える場だ。われわれは開学当初から、学生が自ら積極的に学ぶ『自立学習』を支援してきた」と語る。全学生のための英語の自立学習を、最新の設備や技術で実現した場が、この「KUIS8」である。同大学の英語自立学習施設を語るうえで、約15年の歴史をもつSALC(Self-Access Learning Center)は欠かせない。もともと4号館から小さな規模でスタートしたものを、6号館へ拡大移転。「リーディングやライティング等スキルベースで分けるのが主流から、学生がどう学ぶか、一人かグループか、テクノロジーを使うのかといった環境ベースで分けるのが主流になってきたころ、6号館のスペースでは限界があった」と語るのは茂又佑子セルフアクセスラーニングセンター係長だ。また語学学習は、一人で学ぶよりも、協働学習(ラーニングコミュニティー)のほう88リクルート カレッジマネジメント206 / Sep. - Oct. 2017「The Park」は芝生に座ってランチを食べたり寝転んだりと、自由にくつろげる空間。

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