カレッジマネジメント207号
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10リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017段階に区分し、独自試験の点数を上乗せする等、あくまでメインは独自試験という形で利用していく方法がありえます。司会 新制度では、従来のAO入試にあたる「総合型入試」は出願時期が8月から9月へ後ろ倒しになり、合格発表も実質10月に行われていたのが今回初めて11月以降と設定されました。この実施時期の後ろ倒しについて、大学側はどう捉えていますか。鎌田 時期の問題は非常に大きいです。AO入試では教員の総力が必要になります。法科大学院の責任者をしていましたが、法科大学院は100%AO入試だったので、入試担当者は夏休みの1カ月間、そのほかの教員全員も数週間、缶詰めになっていました。大学が本気でAOをやろうとすると、夏休みを利用するしかないのですが、夏休みに入学者選抜を行うことは高校からクレームが多く、募集時期すら9月以降とされました。となると、総力をあげての綿密な審査ができない。結局は大学入試センターの試験に頼らざるを得ない状態に追い込んで、1点刻みの選抜を強いようとしているように思えてなりません。司会 高校側は、学事との関係を含め、どう見ていますか。宮本 高校にとっても、子どもたちが今までやってきたことをまとめる時間が必要です。形だけのAOや推薦入試では意味がないというのは同意見ですが、夏休みを通して様々な体験をし、最期にまとめる時間が必要だと感じています。 また、早稲田大学やお茶の水女子大学は違いますが、「名前だけのAO・推薦入試」を行っている大学は確かにあり、9~10月には進路が決まり、本当に学力が伸びる時期に全く勉強をしない高校生が相当数います。最後の学力のまと一般選抜と共通テストの実施時期に関する課題とは──めの時期に勉強をしないで大学に入り、つまずいている。新制度はその点からも時期を勘案したのではないかと思います。司会 今までは、AO・推薦入試は学力を問われませんでしたが、新制度はどの入試区分でも、学力の3要素をしっかりと見ていくこととされています。また、一般選抜でも、調査書や本人の記載する資料の提出が求められるようになりました。そこで、高校ではどのように活動書や調査書を作成していくことになりそうですか。宮本 多様な力を評価していただくのはありがたいことで、評価に足る資料をこちらが用意しないといけません。これまでの高校の活動の中では、必ずしも体系的にまとめてきてなかったのが事実です。 今後は、高校生に意図的に様々な活動をさせ、それをきちんと自分でまとめさせることが求められます。高校教育を質的に向上していく意味でも大事だと思いますが、相当手間がかかるので、大学入試でプラスに見られるのかが気になります。 また、ICT化が進んでいますから、国に調査書等を共通フォーマット化してもらい、各大学がそのまま入試で使えるようにする等の整備も合わせてやっていただきたい。そうでないと、我々も大変だし、評価される大学側も大変で、定着していかないと思います。鎌田 この点は大学も反省すべきです。今までは高校3年間の教育をきちんと見てきたとは言えません。調査書も合否判定にほとんど使って来なかったように思います。1日か2日の入試で一定の能力だけを試して、入学者を決めればいいというのは、今後は通用しません。大学入学後の教育内容との接続や検証方法に対する課題感とは──体験から学び、知識を組み合わせていく力をつける高校教育に変えるとともに、そういう力を、ぜひ大学入試で見ていただきたいと思います。──宮本氏       

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