カレッジマネジメント207号
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11リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017(本誌 能地泰代 撮影 西山俊哉) 企業が就職試験で、大学4年間でやってきたことを全然見てくれないことが問題視されています。同じようなことを、大学は高校に押しつけてきたのです。これでは負の連鎖が拡大します。 高校で受験シーズンに先生が徹夜で調査書を書くのではなくて、大学側がいつでも高校生のポートフォリオを見られるようなシステムを作るべきです。大学でも、大学の教育でどれだけの効果が出たかを検証することが必要なので、データを逐次記録して、就職の際には、一人ひとりの学生の4年間の成長過程をポートフォリオで見てもらう。大学を出てからもその学生がどうなったか追跡できるデータベースを構築していきます。これからの時代は社会に出てからも、一生学び続けることが求められますからね。 教育改革は、目の前のことだけを改革していては、大きな成果につながりません。日本の将来を支えるための初等・中等・高等教育であるべきで、それを社会につなげ、さらに社会からも戻って来てもらえる高等教育にすべきです。司会 高校や大学で学んだことだけで生きていける世の中ではなくなり、生涯学び続けるための教育改革が、今進められているということですね。では、高校教育が大学、社会につなぐ「高大社接続」となるためには、これから高校教育はどう変わっていくべきだと考えられますか。宮本 子どもたちに社会で必要な力をつけさせることと同時に、大人と接するチャンスを作り、多様な形の体験をさせていくことが必要です。いわゆる知識だけじゃなく、体験から学び、知識を組み合わせていく力をもっとつけていく高校教育に大きく変えていくことが大事です。そういう力を、大学入試でぜひ見ていただきたいと思います。 大学や社会で伸びる子どもをどうしたら高校で作れるのか、そもそもそういう力って何なのかを、高校も大学も一緒にもう一度考えていきたい。高校でここまで力をつけたから、あとは大学でお願いしますと言えるように、さらに社会までつながっていく仕組みを一緒に連携しながら作っていくことが、これからの日本の教育を考えるうえで一番大事なように思います。入試改革や教育改革を経て、大学、高校はどのような人材育成の場に変わるべきか──司会 大量の受験生をマークシートという効率的な仕組みで大量に評価する入試から、各大学の理念や価値を入学者選抜という形でメッセージとして出し、受験生を多面的に評価するというのはかなりドラスチックな改革だと思われます。 では、入学者選抜と高校教育が大きく変わろうとするとき、受け入れる大学は、どのように変わっていくべきですか。室伏 本学の場合、多様な入試で色々なタイプの学生が入ってきます。そういう人たちが夢を実現できるところまで持っていくために、教職員が個別の対応をしています。小さな大学なので、少人数教育を看板にしていて、きめ細かい対応が強みですが、今までのように学生をマスとして見ていてはだめだと思うときがあります。手間はかかっても、責任を持って預かった学生を育てようという覚悟を持つことです。またさらには、高校、大学だけではなく、社会も含めて、オールジャパンで子どもたちを育てようという方向性が必要だと思います。鎌田 本学は人文社会系が多く、大教室の講義による教育が中心でした。大講義は、基本的な知識を効率的・体系的に伝えるには良い方法ですが、これからは大学で蓄えた知識を小出しにしていけば70歳まで活躍できるような時代ではありません。全く想像しなかったような問題に対して、どうアプローチし、何を調べて解決策に結びつけていくかを身につけていることが求められます。さらに、文化的背景の異なる人をどうまとめ、彼らの信頼を得ながら行動していける人間力も要求されるでしょう。 そのために必要なのは、問題に取り組む姿勢であり、それに必要な基礎的な知見や技能、調査分析の手法をしっかりと身につけさせることです。これは大講義だけではできないので、議論し、体験し、知恵を身につけさせていくような教育に変えていかなければならないのです。そのためには、基礎的なスキルと考える習慣を高校までに身につけてもらえるような入試に変えていくことが必要なので、高校、入試、大学の三位一体の改革をこれからも進めていきます。司会 高校、大学、社会をつないで人材をいかに育成していくかが重要ということですね。本日はありがとうございました。トップ座談会入学者選抜特集

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