カレッジマネジメント207号
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28北陸大学は「自然を愛し 生命を尊び真理を究める人間の形成」を建学の精神とし、健康社会の実現という使命の実現を目指して石川県金沢市に1975年に開学した。近年は、その歴史や伝統を守りながらも、地域そして社会に求められる大学であり続けるために、2025年度の創立50周年に向けての長期ビジョン「北陸大学Vision50(by2025)」を掲げ、学生一人ひとりのマインドとポテンシャルを多面的・総合的に評価し、入試から育てて伸ばす21世紀型の大学教育へと変革に挑んでいる。2017年度からは学部を大幅に改編し、4学部4学科の新体制となった。「薬学部・薬学科」では、薬だけでなく人と向き合い、国民の健康を多角的にサポートする医療人の育成に取り組んでいる。新設の「医療保健学部・医療技術学科」では、臨床検査学と臨床工学の2つの知識と技能を持った医療技術者を養成している。従来の未来創造学部は、「経済・経営・法律・会計・IT」の5分野に精通したゼネラリストを育てる「経済経営学部・マネジメント学科」と、日本を理解し国際化の波に対応する「国際コミュニケーション学部・国際コミュニケーション学科」に生まれ変わっている。本稿では、「北陸大学Vision50(by2025)」策定の背景や戦略、21世紀型の大学教育の推進に不可欠である独自の入学者選抜方法や評価基準等について、変革の旗振り役であり、北陸大学の卒業生でもある小倉勤理事長・学長にお話をうかがった。創立50周年である2025年に向け、さらなる飛躍を遂げるため、北陸大学では「本物の教育力を持った大学になる」ことを重要事項として掲げている。一人ひとりへのきめ細やかな教育により学生を育て上げ、社会が欲する人材として巣立つようにする。これを北陸大学の存在意義とし、「2025年までに学生の成長力No.1の教育を実践する大学となる。」をスローガンとする長期ビジョン「北陸大学Vision50(by 2025)」を策定した。この長期ビジョンを具現化するためには、法人と大学が一体となり、「チーム北陸大学」として共通の現状認識に基づく一致した基本政策の策定及び推進が重要であることから、今後取り組むべき施策を第1期中期計画としてまとめている(図1参照)。実行力のある計画を立案するために、各重点項目の責任者を理事とし、常任理事会の下に、5年後、10年後の組織を背負うこととなる世代の教職員を中心に構成した長期ビジョン・中期計画策定委員会を設置している点に大きな特徴がある。図1にあるように、長期ビジョンの実現に向け、入学者確保・退学防止・就職率向上を中期計画重要目標達成指標(KGI)として設定し、その達成を北陸大学の教育成果としている。さらにそのKGIを達成するための7つの重点項目と、個々に定量的もしくは定性的な目標(重要業績評価指標:「チーム北陸大学」の基盤づくり─「北陸大学Vision50(by2025)」の策定「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性・多様性」を重視した選抜の構築に向けてリクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017「21世紀を生き抜くチカラ。」を独自の体験型プログラムによって選抜小倉 勤 理事長・学長北陸大学 C A S E3

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