カレッジマネジメント207号
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29KPI)を設定している。その1項目である「入学者確保」では、「受験者層との接触機会を増やし、意欲のある質の高い学生を確保するための施策を実施する」ことを基本方針とし、「各種接触者の増加」「志願者及び入学者の増加」を行動目標に掲げている。着目すべきは、「志願者及び入学者の増加」のための行動計画の一つとして、「学力の3要素を踏まえた多面的・総合的に評価する入学者選抜の実施」を挙げている点である。3要素の中でも、「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性・多様性」の2つの要素を入試の段階から重視し、従来の知識・技能偏重の入試では測りきれないような力を多面的・総合的に評価し、さらに伸ばすための仕組みの構築を目指している。北陸大学では、一般選抜、センター試験利用選抜以外に、AO選抜、指定校推薦選抜、一般推薦選抜等、多様な方法で入学者選抜を実施していた。しかし、AO選抜では対策をしてきた学生が目立つ等、スポーツAO選抜以外では、大学が期待するような学生を集めることは難しい状況にあった。小倉理事長・学長が就任直後から入試改革に即座に着手、その際に着目したのが「21世紀を生き抜くチカラ。」である。現代の社会では、知識や技能だけでなく、受験生が高校までに積み上げてきた「思考力・判断力・表現力」や「主体性・協働性・多様性」も、実社会で役立つ真の学力として重要視されている。北陸大学では、これらのチカラをさらに伸ばしたいと考える学生を「チーム北陸大学」のメンバーとして集めようとしたのだ。まずは、学修評価や初年次教育の専門家である山本啓一教授を招聘し、「21世紀を生き抜くチカラ。」を大学で育むにあたって、それにふさわしいコンピテンシー(+リテラシー)を持つ学生の選抜方法の検討をスタートさせた。試行錯誤を重ねながら、研究と現場がそれぞれの理想を意識しつつリクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 20173つの戦略長期ビジョン中期計画 重点項目中期計画 重要業績評価指標(KPI)行動目標行動計画中期計画重要目標達成指標(KGI)図1 長期ビジョン・第1期中期計画概念図基本方針多様な学習歴を持つ学生が入学してくる中、まずもって重要なのが、学生が目標を設定し、学ぶ意義を理解するなど、学修者としての意識を醸成すること及びその継続であり、また、それを導く教員力でもある。何を教えたかではなく、学生自身が何を身につけたのかとの視点に立ち、カリキュラムなど教育の枠組みを始め、教育手法、教職員の能力開発など、教学に関し、あらゆる角度からの見直しを行い、真に学生の成⻑を引き出す教学を創造する。基本方針学生生活満足度の向上を目指した学生支援体制の強化を図り、学生が意欲を持って学業や課外活動に取り組み、学生の成⻑を引き出す学生支援を実践する。基本方針受験者層との接触機会を増やし、意欲のある質の高い学生を確保するための施策を実施する。基本方針特色のある質の高い研究を推進するための環境を整備し、研究成果を広く発信し、知識基盤教育の発展に寄与する。研究力の強化により教育の質の向上と社会的評価の向上を図る。基本方針「Global Eyes –金沢に学び世界にかける-」の教育スローガンの下、基礎学力、豊かな教養、優れた語学力、的確な判断力を持ち、地域並びに世界の発展に貢献できるグローバル人材を養成する。基本方針地域社会への貢献が大学の使命であるとの認識のもと、大学の知的・人的財産を地域に積極的に還元し、地域の教育・研究の強化、そして地域産業の発展に貢献する。また、地域を実践的な教育の場と捉え、学生の地域活動・ボランティア活動を推進する。保護者や卒業生等のステークホルダーとの連携により、大学との信頼関係を強化する。基本方針社会の変化に機敏に対応し、大学を永続的に発展させるため、教学の主体性を尊重しつつ、法人全体のガバナンスを強化し、組織、人事、予算等に関する諸制度を見直す。さらに永続的な発展のため、安定的な財政運営を進めるとともに収入財源の多様化や経費削減を推進し、将来に向け経営基盤を強化する。行動目標・3つのポリシーの明確化と実質化 ・カリキュラム・ポリシー(CP)に基づいた学力の保証 ・初年次教育と教養教育の再構築・学生の能動的な学修を促すための取り組みと教育 力及び教育の質向上行動目標・正課外活動の活性化 ・キャリア支援の強化・学生の成⻑を促す学生生活支援行動目標・各種接触者の増加・志願者及び入学者の増加行動目標・研究成果の社会への発信強化 ・研究活動の促進に向けた研究環境整備 ・科学研究費補助金(外部研究資金)等の申請・採択件数の向上行動目標・海外提携校・海外留学・海外研修の拡充による グローバル人材の育成・海外留学・研修に参加しやすい環境の整備行動目標・地域・産学官連携 ・ネットワーク強化に関する全学的な基本方針の策定 ・地域との連携 ・保護者との連携 ・卒業生(同窓会)との連携 ・生涯教育・社会人教育の拡充行動目標・財務基盤の強化 ・経営ガバナンスの強化 ・教員人事制度と事務職員人事制度の見直し ・社会のニーズに適応した教育組織の改編 ・キャンパス整備 ・ダイバーシティの促進教育改革1重点項目IV重要目標達成指標III3つの戦略II長期ビジョン (50周年ビジョン)I学生支援2研究活動活性化3国際化推進4地域・産学官連携推進・ネットワーク強化5入学者確保6経営基盤強化7KGIを達成するために7つの重点項目と、個々に定量的もしくは定性的な目標(重要業績評価指標:KPI)を設定する。⻑期ビジョン実現に向け、全学的に取り組む中期計画重要目標達成指標(KGI)として、入学者確保・退学防止・就職率向上を設定し、その達成を本学の教育成果とする。■学生の成⻑を支える魅力ある教育・研究の実践■教職員の活性化■安定した経営基盤の確立■長期ビジョン・中期計画の体系図※第1期中期計画期間: 2017年〜2020年北陸大学は、学生の能動的な学修を促す先進的かつ多様な教育を組織的に実践することにより、主体的に考え行動でき、社会で必要な問題解決能力を持つ「自らの未来を切り拓く力」を備えた人材を育成する大学となる。そして、健康社会を実現するために、医療人としての専門職業人、世界基準で行動できる国際人、地域をマネジメントするリーダーを輩出することにより地域社会の更なる発展・貢献を果たす。そのために、教職員が学生と共に成⻑する意識を持ち、常に教育改革と大学の安定的な運営に全力で取り組むことを約束し、北陸地域の基幹大学となる。2025年までに学生の成⻑力No.1の教育を実践する大学となる。 【北陸大学Vision50(by2025)】入学者選抜特集

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