カレッジマネジメント207号
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31リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017(望月由起 昭和女子大学 総合教育センター准教授)また、「21世紀型スキル育成AO選抜」による入学者全員にAO奨学金を給付している点も大きな特徴であろう。年間20万円を4年間にわたり給付する制度だが、入学後に大学が指定する地域活動、学内活動への参加(参加後に自己申告に基づく活動報告書を作成し、クラスアドバイザー教員のチェックを受けることを含む)を継続条件としているのだ。学生を選抜するだけでなく、育成しようとする姿勢が伝わる制度である。今年度からは、薬学部、医療保健学部でも、従来のAO入試を抜本的に改革し、「21世紀を生き抜くチカラ。」を多面的かつ総合的に評価する「21世紀型医療人育成AO選抜」をスタートさせている。「AOセミナー」では、趣旨説明・模擬授業の後、グループによる科学実験・レポート作成を経て、個人での振り返り(授業や実験の内省)や面談を行い、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働性・多様性」について多面的・総合的に評価する。「21世紀型スキル育成AO選抜」同様、「AOセミナー」では出願資格認定を行うだけで、その後に受験生自身が出願をするか否かを決定する流れとしている。募集人数は、今年度は薬学部10人、医療保健学部3人と少数であるが、検証を重ねながら、今後も検討していくという。「21世紀型スキル育成AO選抜」は2017年度から実施、「21世紀型医療人育成AO選抜」は今年度から実施のため、その成果や課題を時系列的に捉えることは、現段階ではまだ難しいだろう。とはいえ、「1年生全体が明るくなった」と小倉理事長・学長は手ごたえを感じている。大学が力を入れてきた「中国研修」に手を挙げる学生も、これまで以上に増えているという。スタートしてまだ1年足らずだが、「21世紀型スキル育成AO選抜」によって、いわゆる「自燃型」学生が少数でも入学することにより、少なからずいるであろう「可燃型」学生の行動や言動にも変化が表れ始めているのかもしれない。北陸大学では、学生が入学してから卒業するまでの成長の礎として「初年次教育」を重視しているが、「21世紀型スキル育成AO選抜」により入学した学生には、2年次以降、ス成果の感触と今後の展望テューデント・アドバイザー(SA)として下級生を指導することを求める等、リーダーシップの育成も目指す(図3参照)。「『将来なりたい姿になれましたか?』という問いに対する学生の回答こそ、教育の成果ではないか」と小倉理事長・学長が語るように、北陸大学では、将来設計力やそのための行動力も教育成果として重視している。学生の自己理解や表現力を育み、個々の学生の夢を実現すること、その満足度を高めることが、大学としての教育成果であるという。その検証を一つの目的として、学生満足度調査を積極的に実施しているが、近年は、全学生を対象に1年次より定期的にPROGテストを課す等、大学在学中の学生の成長にもより注視していくという。いわゆる受験学力の高い学生をペーパーテストにより選抜し、ベルトコンベアーにそのまま4年間乗せ、社会に送り出すような時代ではもはやない。近年、多くの大学ではこの4年間を学生の成長に活かすために、教育プログラム改革が行われている。しかし、それがいかに優れたものであっても、万人の学生に効果のある魔法のようなプログラムはないだろう。北陸大学の大学案内の扉ページには、「北陸大学はただの大学ではない。あなたの成長を実現するプロジェクトチームである。」とある。北陸大学では、そのプロジェクトにふさわしい学生を、そのポテンシャルに着目して選抜しようとしている。それは「合否」というジャッジではなく、「適合・不適合」といったマッチングに近いように思う。「チーム北陸大学」のメンバーとしての学生の成長とともに、北陸大学の入学者選抜、教育プログラム、その連動の今後の展開にも期待したい。AO入試入学卒業初年次教育リーダーシップを育成フレッシュマンセミナー入学前学習プログラム・スクリーニングスチューデント・アドバイザー(SA)として下級生を指導 ※2年次以降高校教育大学教育実社会(生涯教育)図3 AO選抜から始まる教育の流れ入学者選抜特集

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