カレッジマネジメント207号
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32入学者選抜における高大接続のみならず、教育面でもいち早く進化を目指す大学がある。2001年より展開した21世紀プログラムを基盤に、2018年に共創学部を立ち上げる九州大学だ。一歩先行くその動きの背景には何があるのか。伊都キャンパスを訪ね、小山内康人副理事にお話をうかがった。九州大学(以降、九大)は2011年創立100周年に際し、「躍進百大」とのスローガンを掲げた。あらゆる分野で世界のトップ100位以内に入るという強い意志の表れだ。それを支えるのは、自律的な改革、教育の質の国際的保証、人類の課題に挑戦し続ける探究心であるという。継続的改革のさなか、2015年には、久保千春総長の強力なリーダーシップにより、2020年までの九州大学アクションプランを策定し、「世界最高水準の研究とイノベーション創出」「グローバル人材の育成」「先端医療による地域と国際社会への貢献」「学生・教職員が誇りに思う充実したキャンパスづくり」「組織改革」「社会と共に発展する大学」という6つの骨子を定めた。その詳細にも記され、視座高く世界水準の次世代教育研究機関たらんとする志を具現化する学部として設置するのが、共創学部である(図表1)。新学部担当の小山内副理事は次のように話す。「例えば地球温暖化1つを見ても、現象を解析するための気象学のみならず、原因である人類活動や生物学、国際躍進百大の目指すもの政治等とは切っても切り離せません。しかし既存の学部教育は、法学、医学、工学や経済学といった特定の学問的方法論のトレーニングを通じた専門家養成が主目的でした。それでは横断的に学問を見渡す視座はなかなか獲得できないし、現代起こっているあらゆる問題は単一の学問のみでは解決できないものばかりです。こうした由々しき状況を鑑み、われわれは、現代の課題を解決できる人材育成という観点から、既存の枠組みに囚われない教育のあり方を模索しました」。現代社会の課題解決に焦点を当てた学部教育の抜本的な見直し。そのベースとなったのは、2001年から九大が展リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017次世代の学士教育と国の教育改革を先導する先見性小山内康人 副理事・教授九州大学 共創学部図表1 共創学部のコンセプトInnovationイノベーションによる課題解決策Interactionwith Society社会的課題の設定構想協働共創経験GlobalCommunication課題解決のためのコミュニケーション共創学部キービジュアル

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