カレッジマネジメント207号
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34リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017ログラムで、語学の問題で2年次以降の教育に支障が出ることのないようトレーニングを重ねる。通常授業は日本人学生と留学生が同じ教室で学び、日常的に交流するほか、日本人学生は海外大学への留学等が、留学生には国内企業のインターンシップ等が義務づけられており、異文化の中で活動する経験を積むという。実践的な語学力のほかに共創学部で重視するのは、「何が問題なのか」を見いだす力と、その解決のための「構想力」である。横断型カリキュラムの中で学ぶ領域を自ら定めるためには、膨大な情報から自ら問いを立て、それを追究する姿勢が欠かせない。与えられた潤沢な知の環境があっても、そこで何をするのかという軸がなければ意味がないのである。「思考の方向は、『何をしたい』から出発すること。『何を学んで何ができるか』という従来の学び方とは逆で、キーとなるのは個人の問題意識です」。与えられた問いに取り組む受動的な姿勢ではなく、自ら主体的に問いを設定し、問いに応じて学ぶ対象を選び、得た知識を組み合わせて新たな知を創造し、解決策を構想し、他者と協働して経験を積む。4年間かけてそのプロセスを繰り返すことで、課題抽出と解決を修得していくという。横断的なインプットとアウトプットを繰り返し、PDCAを循環させながらレベルを上げていくイメージである。カリキュラム上の集大成はディグリー・プロジェクト(卒業研究)となる。翻って、探究活動の足腰とも言える基礎学力とともに、そこを追究できるだけの知的好奇心や論理力の素養があるかが学部の求める人材要件の第一となり、その見極め方が選考方法となる。次項では入学者選抜について見ていこう。九大の第3期中期目標(2016〜2021年度)には「入学者選抜に関する目標」として、「国立大学としては最も早くからAO入試を導入し、『21世紀プログラム』を実施する等、新たな取り組みを積極的に進めてきた実績をもとに、アドミッションセンターの充実を図り、新たな入試制度を開発、実施する」と明記されている。また中期計画には、「新学部の設置に併せ、新たな入試制度の開発を行う」とある。共創学部は入学者選抜においても全学的改革のパイロット的位置づけにあるようだ。共創学部の入学者選抜制度はAO入試、推薦入試、一般入試、国際型入試の4つである。概観を図表3に示した通り、学部教育に対して求めたい資質能力について、各入試形態を対応させており、図表下部にあるように、その枠組みを九大全体に展開した際の名称等も検討されている。共創学部では全学的改革の先駆けとして、どの選考でも多面的・総合的評価を軸に設計されており、特に選考のベースとなるのは前述した問題意識であるという。「意識というのは後から植えつけることが非常に難しい。自分なりの視点で現代に累積する課題の何を課題と感じ、どう考えているのかを示すことができるかを見るため、全ての入試類型で志望理由書を課し、AO・推薦では活動歴報告書も必要となります」。どの程度の倍率がつくかにもよるが、特に定員105名のうち一般入試に割り当てられた定員65名に志願する全員の志望理由書を採点するのは、なかなか骨が折れる全入試区分で多面的・総合的評価を実施図表2 カリキュラム概要課題解決の方法等を、複数の学問分野の知識や技能を組み合わせて構想幅広い学問分野の知識や技能と、学問を課題解決に活かすアクティブな態度と思考法を獲得共通基礎科目共創基礎プロジェクト共創プロジェクトエリア基礎科目エリア発展科目経験科目必要に応じて他学部等の科目を履修エリア横断科目ディグリープロジェクト(卒業研究)基幹教育1年次2年次3年次4年次●高年次基幹教育科目専攻教育課題協学科目

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