カレッジマネジメント207号
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36リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017中京大学(以下、中京)は2014年開学60周年に当たり、長期計画「NEXT10」を定めた。その名の通り、次の10年で目指す内容を網羅した道標である。その中で「学生の受け入れ」と題し、入学者選抜の継続的な見直しを銘打っている段がある。ちょうど時を同じくして2014年12月、文部科学省から「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」の答申が出たことで、どの大学でも学力の3要素をどう評価するかは至上命題となった。広報部の鳴川義雄副部長は、「本学ではここ20年間で多科目式試験の導入、入試日程変更やネット出願等、幅広い入試改革を行い、多様な方法で志願者数を伸ばしてきましたが、学部別のAPを具現化するきめ細やかな制度設計になっているとは言い難いのが実情です。文部科学省の動向も鑑み、改めて次の中京を牽引する人材をどのように定め、獲得するのかを再検討しています」と話す。その第1弾として2018年度入試より導入するのが、その名もずばり「高大接続入試」。2016年より構想を始め、全学的な検討に先立ち、国際英語学部・経済学部・法学部の3学部が実施を決定した。入試の内容は図表にまとめたが、以下詳細を見ていこう。国際英語学部で導入する「アクティブ型」では、二次選考に「学外施設ツアー試験」及び「プレゼンテーション」3つの学部で三者三様の課題意識を組み込んだ。学外施設(名古屋市内もしくはその近郊)のツアーに参加し、与えられた課題にチームで取り組み、プレゼンテーションを行う中で、場に臨む姿勢や主体性・協調性等を多面的に評価する。背景にある課題意識は、「何としても海外に行きたい」「英語を使って仕事したい」というハングリー精神溢れる層の減少だ。順調な志願者数増加の側面から見えないそうした変化を感じてこの入試方法を取り入れた。これまでの入試設計では測ることのできない「周囲に刺激を与えられるタイプの学生」を評価する。「志願者をじっくり選抜するもので、評価対象はワークの成果となるアウトプットというより行動プロセスそのものです。他者からのインプットを自分なりに吸収しながら、チームで取り組むことができるかどうかを慎重に見極めます」と鳴川副部長は話す。経済学部では「単位認定型」を導入する。高校生は大学の授業を受講し、その成績と面接で評価を行う。そこで修得した単位は入学後の卒業所要単位に認定される。特徴的なのは、オープンキャンパス等の高校生向けに作られた内容ではなく、実際に日々行われている授業に、大学生とともに高校生が参加する形式を採っている点である。「単位認定のためというのもありますが、入学後のイメージができていないと、入学後にアンマッチを起こす可能性があります。自分にとってのリアリティをきちんと作れるように、敢えて通常講義に参加する形式を採っています」。ベースとなっているのは、2013年よ「将来の可能性」を評価する高大接続入試鳴川義雄広報部副部長中京大学長期計画に則り入学者選抜を再考する

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