カレッジマネジメント207号
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49体ではなく、まず一部から始めて、その成果を検証しながら、徐々に広げていっている大学が多い。京都大学の特色入試は、2016年100名で始まったが、検証しながら2018年度入試では155名まで広がった。九州大学の21世紀型プログラムは、26名の学部横断型プログラムであったが、その実績をもとに2018年度に共創学部としてより発展した形で生まれ変わる。上智大学も4技能入試を導入しただけでなく、TEAP型入試で入学した学生について、入学後の成長を他の入試分の学生と比較検証しているところが重要なポイントである。それを実現するためには、まずDPについて育成する人材像や身につけるべき資質・能力について学内で摺り合わせができていないといけない。そこから、CPを編成する。その上で、どのような学生に入学してきて欲しいのか、入学した後の教育に入っていくためにはどのような準備が必要なのか、それをどのような方法で評価するのかをAPに表現しなければならない(図)。これは入試センターだけでできることではなく、全学的な議論が必要になってくる。そして、文部科学省もAPについて「大学関係者だけでなく、高校教員、保護者、受験生といったステークホルダーにも理解しやすい文章表現であること」が重要であると記している。重要なのは、入学者選抜を変えるということは、入学後の教育、そしてどのような学修成果を実現するかといった卒業までを見据えた一貫した教育マネジメントが求められるのだ、ということを強く意識することではないだろうか。入学者選抜改革は教育改革リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)独自性・個性の明確化(特色・役割・価値)入学から卒業まで一貫した教育マネジメントディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与方針)建学の精神 教育の理念IR(Institutional Research)による検証エンロールメント・マネジメント教育の質的転換と評価の在り方が変わる◆3つのポリシー(AP、CP、DP)を起点としたPDCAサイクルの構築 ⇨教育編成方針に基づく教育の体系化→検証可能なものに(まずDPから策定) ⇨まず「本学が社会に送り出す人材像」が合意されているのか。摺り合わせができているか ⇨職員だけでなく学長・教員も含む、大学を運営するスタッフの育成・意識の醸成(SDの義務化)。◆入学者選抜の在り方、評価基準策定(全体ではなくまず一部から。メッセージの発信) ⇨3つのポリシーを具現化する入試改革。多面的・総合的な評価(高校の評価との接続) ⇨こんな人物を育成する大学だから、この資質能力を、このように評価するというメッセージ◆探究型、アクティブラーニング型の授業に馴れ親しみ、語学力のある新入生への対応 ⇨講義型とアクティブ型・探究型のバランス。がっかりさせない授業(最初が肝心→GWまで) ⇨4技能に対応した語学力のある高校生の争奪戦に(語学力の格差拡大も)◆入学後の学生の到達度(学修成果)の評価をどのように行うか ⇨入学がゴールではなく、卒業時に何が身についたか(正課だけでなく、正課外も含めて) ⇨資格取得や定量的なものだけでなく、教養や経験等学生自身が自分で語れるストーリーを持つ ⇨仕組みとしてのPDCAサイクル(IR=Institutional Research)、内部質保証システムの構築◆外部への公表・情報発信⇨各大学の「ならではの価値」の浸透、「伝える」と「伝わる」は異なる ⇨本学の教育を表すメッセージ“=「ならではの価値」をどのように学内外へ浸透させるか ⇨本学で学ぶ“価値”をどのように伝えていくのか。客観性、信頼性が課題図2 大学入学者選抜・大学教育はこう変わる大学関係者だけでなく、高校教員、保護者、受験生といったステークホルダーにも理解しやすい文章表現であること(文科省)どのような学生に来てほしいのか?どのような卒業生を社会に送り出すのか?学内への浸透・共感(インナーコミュニケーション)学外への浸透・共感(アウターコミュニケーション)積極的な情報発信認証評価PDCAサイクルを重視(内部質保証)入学者選抜特集図 「3つの方針」を起点とした内部質保証システムの構築<大学教育のPDCAサイクルの確立>入学者に求める学力の明確化どのような学生に来てほしいのか、どのような要件(学力、意欲等)が必要でそれをどう評価するのか⇨入学者選抜の改革教育課程編成・内容の明確化それができるのは、どんな理念に基づき、どんな教育の仕組みがあるからなのか学生が身に付けるべき資質能力の明確化卒業時にどのような能力を身につけて、社会に送り出すのか。何ができるようになるのかに力点こんな人材を育てたいという強い想い(学校のDNA)ミッション・ビジョンの明確化・再定義

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