カレッジマネジメント207号
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51リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017ず、メディカルソーシャルワーカー、医療情報技師、医療秘書等を幅広い分野で、専門性の高い医療福祉人として育成しています。その中で大切にしているのが、学園の建学の理念「1.人間(ひと)をつくる、2.体をつくる、3.医学(学問)をきわめる」です。これは、川崎病院時代からのモットー「全ては患者さんのために」がベースになっています。まずは患者さんに信頼される人間性の豊かな人にならないといけない。次に医療福祉の現場は非常にハードワークなので、それに耐えられる体と精神力を身につけること。その上で、特に専門的な知識と技術が要求される分野なので、当然ながら医学・医療福祉学を究めるというものです。なかでも、臨床現場に強い医療職になるために、2つの附属病院でしっかりと実習トレーニングを積むことが一番重要だと考えています。また、「患者さんのため」が原点なので、医療の現場でニーズがあれば、速い対応で人材育成を行ってきました。例えば、医科大学に救急医学教室を開講したのは本学が初めてで、ドクターヘリも我が国で最初に導入しました。総合医育成のために総合診療部を置いたのも本学が初めてですし、リハビリテーション教室も全国で最も古い教室の1つです。新しいものでは、脳卒中医学教室や新生児学教室を作ったことも挙げられます。医療福祉大学にもユニークなものがあります。医師の診療や研究のサポートを行うクリニカルセクレタリーを養成する医療秘書学科や、手術書や解剖書を描くメディカルイラストレーションコースをもつ医療福祉デザイン学科は他に例をみません。素早い対応を可能にする医局の垣根を 作らせない仕組みこのように、医療現場のニーズに素早く対応できるのは、学園のガバナンスの特性によるものです。医科大学を新設するにあたり、海外の教育現場を見てきて、日本の当時のやり方の課題を解決しようと取り組みました。多くの医学部では医局が縦割りで、1つの病気に対し、外科は外科、内科は内科と別々の組織で教えていますが、本学は教育研究の垣根を最初から作らせない仕組みでスタートし、臓器別、機能別に、各教室が協力しあっています。また、それぞれの専門分野のスペシャリストが、学園の全ての学生に専門性の高い教育を行っています。学園創立50周年に向けて改革を推進大学の評価というのは、卒業生がいかに地域に貢献しているかで決まるのだと思います。現在4300人以上の医師をはじめ、4万人近い卒業生が地域の医療・医療福祉の場で活躍してくれています。卒業生の子弟が母校を志願してくださるのは、満足度や評価の高さを物語っているのだと感じています。高度に専門化する医療の職種のなかに、こんなにやりがいのある職種があるのだということを、どれだけ若い世代に知っていただけるかが、我々の今後の課題です。2020年には学園創立50周年を迎えます。それに向けて、我々の建学の理念を引き継いでくれる若手教員の育成も大切なことだと考えています。そのために、学園で働いているメディカルスタッフが、在職しながら大学院に進学し研究業績を積み上げ、学識と能力を培う制度を発足しました。さらに、日々高度化する医療に対応するため、医療短大から医療福祉大学への学科移行を進行中です。2005年に医療秘書学科、医療福祉デザイン学科、2007年の臨床工学科に続き、今年の4月には子ども医療福祉学科、臨床検査学科、診療放射線技術学科を移行・設置しました。医療福祉大学は、3学部15学科の医療福祉の総合大学に発展しました。今後の展望としては、学部・学科が増え、多岐にわたるので、教育体系の見直しが必要ではないかと考えています。また、来年4月には幼保連携型認定こども園を開園します。そこで、今年4月に設置した子ども医療福祉学科の実習の充実化を図るとともに、実習トレーニングの一層の強化を進め、これからも、臨床現場に強い医療福祉の専門職を養成し、地域に貢献していきます。

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