カレッジマネジメント207号
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57リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017のために人々のQOLを支えることができる人材を育てる学校、ということです」。創刊80年を超える「栄養と料理」(女子栄養大学出版部)という月刊誌がある。この誌名は「栄養も大事だけれど、料理も大事」という創立者の考えを端的に示していると香川学長は言う。「栄養料理はまずくても仕方ないというのが昔からある説ですが、どんなに完璧な栄養のある料理を作ったとしても、食べてもらえなかったら意味がない。だからやっぱりまずくてはダメ。サプリメントを飲めばいいというのは大きな間違いだと科学的に証明されているし、おいしいものを食べて楽しい気分になるのは、人生の潤いとしてとても大事です」。また料理(調理)重視は、「働く」現場のニーズでもある。栄養士や管理栄養士は通常、献立を立て、調理のスタッフに指示書を出すのが業務で、食材を切る、煮る、味つけする等の調理には直接携わらない。しかし「世の中はそうは思っていない」と産学官連携推進を担当する染谷忠彦常務理事は言う。「栄養士・管理栄養士に、調理ができることは求められている。単純に、現場からしてみたら、そんなこともできないの、ということです」。実践栄養学科のカリキュラムには、管理栄養士養成課程で必須の科目に、調理関連科目が別枠でプラスされている。国家試験の合格率はほぼ100%を維持しているが、ただ試験に理ができることに基づくそういった能力が、栄養士だろうと教員だろうと食文化だろうと必要だと。だから実践栄養学は、学科・専攻を問わず全学生が学ぶ卒業必修科目にしているのです」(香川学長)。 養護教諭の養成課程である保健栄養学科の保健養護専攻では、キャリア教育として、2年次に10週間の長期学校体験実習がある。「養護教諭としてではなく、学校の何でも屋さんみたいな感じで行き、日々起こる問題に直面することで、3年次4年次の学びのモチベーションが高まります。また逆に、それが辛いとかとなると、教育実習前に進路変更を考えることになる。その選択は確かなキャリアにつながっていきます」(香川学長)。香川学長は埼玉県の公立小学校の教員だった経験からこう話す。「子どもの健康の問題には、朝ごはんを食べ合格すればいいということでは現場で使える人材にはならないからだ。養成課程・国家試験の「学ぶ」には調理が含まれていないが、現場の「働く」には当然のように調理が含まれている。その学ぶと働くを「つなぐ」ために「調理」が必要ということだろう。ほかの2学科も、調理を中心とする実習は質・量ともに充実している。また、1年次の実践栄養学という科目では、日常の食事や自分の立てた献立で、重さを測って評価・改善するという課題が出る。「今はわざわざ計量しなくても、ジャガイモ何個とパソコンのソフトに入れるだけで基礎的な栄養計算はできる。でもそれではどんな調理がされているかは分からない。味の感覚等は、自分で調理ができないとわかりませんよね。例えば塩分に配慮を要するからといって、塩味を抜いたら多分まずくて食べられない。その味を想像して、酸味とか胡椒のアクセントをつけたレシピを書く。調調理実習を重視したカリキュラム食を理解した養護教員を育成建学の理念食により人間の健康の維持・改善を図る女子栄養の学び●社会貢献●ニーズへの対応●啓蒙●建学の精神●実学●資格取得●満足度の高い就職管理栄養士 栄養士養護教諭 家庭科教諭臨床検査技師 栄養教諭 他女子栄養の実践産学官連携自治体、 企業、 団体、高等学校学びの図実践栄養学

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