カレッジマネジメント207号
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63福利厚生や教育訓練の均等・均衡待遇の確保と派遣労働者の取り扱いについて、ガイドライン案が示されている。3つめの「長時間労働の是正」は、現在36協定で締結できる時間外労働の上限(原則月45時間以内、かつ年360時間以内)を厚生労働大臣の限度基準告示で定めているが、罰則等による強制力がない上、労使が合意して特別条項を設けることで上限なく時間外労働が可能となっている。このことから、告示を法律に格上げして違反に罰則を課すとともに、臨時的な特別の事情がある場合として労使協定を結ぶ場合でも、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とするものである。このほかに、勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備なども示されている。4つめの「柔軟な働き方がしやすい環境整備」では、雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援、非雇用型テレワーク(雇用契約によらない働き方)のガイドライン刷新と働き手への支援、副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定等が示されている。5つめの「病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障がい者就労の推進」では、治療と仕事の両立に向けた主治医、会社・産業医、両立支援コーディネーターのトライアングル型サポート体制の構築、子育てと仕事の両立に向けた待機児童解消、病児保育や延長保育など多様な保育の提供、放課後児童クラブの受け皿整備、介護離職ゼロに向けた介護支援の充実、多様な障がい特性に対応した障害者雇用の促進と職場定着支援等が示されている。7つめの「女性・若者が活躍しやすい環境整備」では、個人の学び直しへの支援として、大学等における職務遂行能力向上に資するリカレント教育を後押しするための教育訓練給付の拡充、土日・夜間、e-ラーニング、短時間でも受講できる大学等の女性リカレント教育講座の開拓、大学の再就職支援機能の強化が示されている。また、多様な女性活躍の推進、就職氷河期世代や若者の活躍に向けた支援・環境整備などの課題も挙げられている。大学も多くの就業者に働く場を提供している。大学と短大を合わせると本務者教員・職員合計で43万8000人にのぼる(文部科学省『平成29年度学校基本調査』より)。さらに本務者以外の教職員も多く、これらの人々の貢献なしに大学の運営は成り立たない。これらの教職員が仕事と生活を両立させつつ、その能力を高め、教育研究活動と経営の高度化に積極的に貢献しな合理的説明が可能な人事制度設計が不可欠リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 20171. 非正規雇用の処遇改善働く人の視点に立った課題検討テーマライフスタイルやライフステージの変化に合わせて、多様な仕事を選択したい家庭の経済事情に関わらず、希望する教育を受けたいキャリアの構築ワークライフ・バランスを確保して、健康に柔軟に働きたい病気治療、子育て・介護などと仕事を無理なく両立したい制約の克服仕事ぶりや能力の評価に納得して、意欲を持って働きたい処遇の改善働き方改革の実現2. 賃金引上げと労働生産性向上3. 長時間労働の是正4. 柔軟な働き方がしやすい環境整備5. 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、  障がい者就労の推進8.雇用吸収力の高い産業への転換・再就職支援、  人材育成、格差を固定化させない教育の充実6. 外国人材の受入れ7. 女性・若者が活躍しやすい環境整備9. 高齢者の就業促進働き方改革の検討テーマ(「働き方改革実行計画行程表」に基づき作成)

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