カレッジマネジメント207号
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9リクルート カレッジマネジメント207 / Nov. - Dec. 2017学協会は、国立全体の4割しか導入していない記述式をもっと拡げようという動きがありますが、国立大全体としてそういう傾向はあるのでしょうか。室伏 はい。国立大学協会は記述式を支持する方向です。各大学が行う個別試験に「高度な記述式」を入れようとする動きもある一方、共通テストの記述式問題の活用方法は各大学に任せられています。 今回の記述式導入は意識改革につながります。高校生が「こういうことを学ばなければいけないのだ」と知り、マークシートを指導してきた高校の先生にも意識してもらうことで、教育の方向性が変わると思っています。 最終的には共通テストでは短文しか出題されないことになってしまったので、結果を各大学がどの程度活用できるかは疑問ですが、記述式に対する訓練をすることで、各大学が行う個別試験に対応できる力が身につくことにつながるのではないかと思います。司会 記述式の導入で、大学への成績送付が1週間遅れることを、私大としてどう見られていますか。鎌田 共通テストをどう使うかは大学によって異なり、使わない大学もあります。共通テストを一次選抜で使う場合は二次選抜等までの接続の期間が短くなります。特に早い時期に試験を行っている大学には影響が出るので、私大側も対応に苦慮しています。他方で、AO入試の場合、高校の内申書は高校間のばらつきがあるので、最低限の水準の保障が欲しいという希望があります。ところが、基礎学力テストが不採用になりました。また、共通テストの成績送付が遅くなることでAO一本に絞ってダメだった子が他にチャレンジできないという具合の悪いことも起きえます。 私大は入学選抜者制度を多様化していく中で、共通テストをどう取り入れるか。共通テストから完全に離れると、国立と私立併願の受験生は、二通りの受験準備をしなければいけない。こうした高校生の負担を、少しでも減らしてあげることも考えないといけません。司会 英語の4技能評価の方法として、2023年までは共通テストの英語試験(2技能)が継続し、民間の外部検定試験(4英語の4技能の評価基準とその方法は──技能)と並列して走ることになりますが、これを高校側はどう見ていますか。宮本 4技能をしっかり育てていくのはこれからの社会にとっては絶対に必要ですが、民間の検定だけで測って良いかという懸念はあり、国が新しい4技能評価検定を作ってほしかったという思いはあります。高校でしっかり英語を勉強した子が報われる試験を実施してもらいたいのに、現状の民間検定は必ずしもそうと言えません。 共通テストは学習指導要領にも準拠していますし、高校で学んだ英語の力を測るものさしではあるので、少なくとも民間検定よりはいい。併存でいいと思っています。司会 ただ、共通テストは「読む」「聞く」の2技能しかありません。「書く」「話す」をどう測るかが課題ではないですか。宮本 大学入試センターも3技能については工夫すると言っているので期待はしていますが、スピーキングはさすがに一斉には実施できませんから、悩ましい点です。室伏 国が全ての技能を見るのが一番良い方法です。民間の試験における課題として、受験費用がかかるということもあります。家計が厳しい人などが受験できないとなると、今は教育格差が非常に大きな問題なので、それに拍車をかけることになってしまいます。ですから、共通テストはやめずに続けてほしいと思います。共通テストで3つの技能が測れるようになるならスピーキングはやらなくてもいい。話せる人が入って来なくても、話す力は大学できちんと教育します。鎌田 4技能の試験は、ただ細かく序列をつけるためのものではなく、今後問われる能力だからこそ中学・高校にしっかりと教育課程を確立させることが一番の狙いです。さらに、入学者選抜と大学入学後に行われる教育が、きちんと連続性を持ったシステムとして高校生に提示されていくべきなのです。 私立大学の場合は、共通テストを使わないこともできますから、すでに独自試験の中で3技能をやっている大学は、それを高度化していくのも一つの方法です。本学では、13学部のうち7学部が英語の授業だけで卒業できるシステムになっているので、学部に入って外国人と共に英語で授業をこなしていけるような能力を検証するのに、4技能のテストは不可欠です。ただし、使い方が何通りかあり、1点刻みで序列をつけるのではなく、合否の判定のみとする方法や、6トップ座談会入学者選抜特集

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