カレッジマネジメント208号
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10リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018図表11設置学部系統別割合(2017年度)(地方、入学定員500人未満、入学定員充足率100%以上、医歯薬以外 59大学)図表13 入学者の県内・県外率(入学定員500人未満、入学定員充足率100%以上、 医歯薬以外)図表12 地域別割合(2017年度)図表14 卒業者の県内・県外就職率地方に所在する大学(242校)のうち、①入学定員500人未満、②入学定員充足率100%以上、③医歯薬学部を設置する大学を除く、という3つの条件を設定したところ、59大学(24%)が抽出された。これら59大学に見られる傾向として2つの傾向が挙げられる。1つ目は、国家資格の取得を目指す保健系、企業や官公庁に就職する際に有用な知識を学ぶ社会科学系等、実学系の学部系統を設置している大学が多いことが挙げられる。図表11は、59大学が設置している学部系統の割合をグラフ化したものである。学部系統の割合は、保健系(29%)、社会科学系(21%)、人文科学系(12%)、家政学(8%)、教育学(8%)の順となっている。この59大学の地域別の内訳を見ると、図表12の通りである。「福岡」、「九州」、「甲信越」、「中国」で約半数を占めている。2つ目は、入学者の県内出身率は、地方が三大都市圏と比較して高いことである。三大都市圏の県内出身入学者率は47.3%であるのに対し、地方の県内入学者は62.9%であり、両者には15.6ポイントの差がある(図表13)。地方の大学入学者は、経済的に負担の少ない地元の大学を選ぶ傾向にあると考えられ、比較的地元志向が強いことが分かる。また、卒業者の県内就職率は、三大都市圏は43.9%であるのに対し、地方は43.7%であり、0.2ポイントの違いしかない(図表14)。このことは、地方の大学入学者は、三大都市圏の大学入学者に比べて、地元の大学を選択する者が多いが、就職については、三大都市圏と同様、県内・県外を問わず就職していることを示している。従って、データから見る小さくても強い大学には、①実学系の学部系統を設置している大学が多いこと、②入学者の県内出身率は、地方が三大都市圏と比較して高いが、卒業者の県内就職率は三大都市圏とほとんど差がないこと、という2つの傾向があるといえる。なお、59大学のうち実学系の筆頭である「保健系」を除いた37大学については、その6割以上が「私立大学等改革総合支援事業」に採択されており(2016年度実績(全国):採択率56.3%)、独自性を発揮することで、大学教育の充実を図っていると考えられる。小さくても強い大学は、以上のような強みを認識し、実践している。各大学も自らの強みを認識し、それを活かした教育活動を行うことにより、魅力ある大学づくりを目指していくことが期待される。地元に強い、実学系統の学部を持つ大学が健闘小さくても強い大学の傾向その他11%芸術系4%理・工学系7%教育学8%家政学8%人文科学系12%社会科学系21%保健系29%北陸2%宮城2%広島4%関東7%北海道10%東北10%近畿10%中国12%甲信越12%福岡14%九州13%東海5%020406080100地方三大都市圏020406080100(%)地方三大都市圏52.7%47.3%43.9%43.7%56.1%56.3%62.9%37.1%県外県内(%)

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