カレッジマネジメント208号
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17リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018さらに、地域と大学が一つになる地学一体を志向し、学生と教職員の学職一体にも取り組んでいる。つまり、大学に関わるあらゆる人々が一体となっていく、まさに大学コミュニティーを形成しようとしているのだ。本学のこのような文化を象徴する取り組みとして「スタッフ会議」を挙げることができる(図表2)。本学の最重要事項を議論するのは、スタッフ会議である。そこには理事長も学長も、課長も職員も、専任も嘱託も出席し、大学の方向性を左右するテーマを議論する。私達は互いを「スタッフ」と呼んでいる。業務内容は異なるが、皆一人のスタッフであるということだ。日々の大学運営においても、委員会制を採っていない。その代わり、学生センター教務グループといった、センターやグループと呼ばれる組織が運営を行っている。このセンター・グループには教員と職員が同じ立場でフラットに参画し、長は職位や年齢に関わらずメンバーの互選によって選ばれる。ちなみに現在の国際社会学部長は30代の准教授である。このような体制を通して、教職員一人ひとりが大学運営に参画する仕組みを作ってきた。ここで話し合われた象徴的な議題に「人件費抑制規程」がある。定員割れの頃、教育の社会的責任を果たすために、入試で不合格を出していた。つまり、収入が減るわけだが、それを補填するのが人件費抑制規程であり、それは現場の覚悟だった。ただ、現在まで、一度もこの規程が適用される状態になっていないことも大切な事実である。ところで、大学運営は教職員だけで行われるわけではない。学生もまた、大学づくりのパートナーである。学内で行われる様々な学習支援は学生同士でなされ、オープンキャンパスやカフェの運営、国際寮の寮監等、多くの学生が大学運営を担っている。特徴的な話がある。数年前に部室棟の建て替えがあった。5千万円前後の予算だった。その予算を学生に預けたのだ。学生たち自身が自分達の建物を建てたのだ。このように、学生も中心となって大学を創っていく。これこそが、本学の学生中心主義であり、学職一体の取り組みである。定員割れの頃、学生達と毎日のようにどうしたらよい大学になるかを議論していた。あの頃の学生達が作ってくれた文化でもある。こうした取り組みを通して、教職員はもちろん、学生達もまた、「私の大学」を感じていく。すると、教職員は一体となって学生に向き合い、学生達も大学づくりの主役となる。さらに、地域の人々や企業等のパートナーもまた学生に向き合ってくれる。そうして、大学というコミュニティーが形成されていくのだ。私達には群馬県という、ターゲットであり、サポーターでもある明確な地域がある。小ささは、意思決定も、行動も早く、皆が一体となれる力を持っている。新しい大学は既存のあり方に囚われない発想がある。地方・小規模・新設は全てメリットなのだ。その転換のスイッチは「覚悟」にある。「誰のための大学か」という覚悟、「どのような使命を持つ大学か」という覚悟、「大学にはできないことがあることを知る」という覚悟。この地の学生達のために、地域の人材を育成するために、自分達にできないことは地域にお願いしてでも、学生を育てていく。そのための大学のあり方を模索していく。小さな国立大学を目指しているのではない。私達は「大学」ではなく、「共愛学園前橋国際大学」なのである。おわりに──地方・小規模・新設をメリットに転換する覚悟特集 小さくても強い大学の『理由』※TS=Teaching Sta MS=Management Sta※大学の方向性を左右するような最重要事項は、全教職員が参画するスタッフ会議で話し合う。※センター長やセンター内のグループ長は合議で決める。(TS/MS・職位等関係なく)図表2 教職一体ガバナンス:教職員がフラットに参画する大学運営学長スタッフ会議企画運営会議各種センター(TS・MS合同組織)TS組織国際社会学部学部長・コース長教授会MS組織大学事務局 事務局長総務課教務学生課入試広報就職課企画調査室

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