カレッジマネジメント208号
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18長浜バイオ大学(以下、長浜バイオ)は、2003年に日本で唯一のバイオサイエンス(生物科学)の単科大学として、滋賀県と長浜市の協力のもと、滋賀県長浜市に設置された大学である。医学・薬学・農学・工学・物理学等を学際的に扱う「バイオ」を総合的に教育研究する大学として、開学当初より高い志願倍率を維持し続けている。小規模ながらその独自性のある教育内容により安定的な経営を実現し、のみならず学生が高い満足度を得ていることの背景について、蔡 晃植学長にお話をうかがった。蔡学長は、長浜バイオの特徴について、以下のように話す。「バイオ分野で日本有数の研究成果を持つバイオの総合大学と銘打っており、研究を中心に置いた大学として自負しています。研究中心は、大学創設時からの方針、即ち建学の理念であり、法人経営の方針としても、大学のあり方としてもぶれたことはありません」。この「バイオの総合大学」と「研究中心」という2つの表現の中に、長浜バイオの強さの背景が端的に表れている。長浜バイオの大学創設準備がなされていた1990年代末、21世紀はバイオの時代として、国の政策においてバイオサイエンスが重点領域に位置づけられていた。しかし当時の日本において、バイオ関連の教育研究は、理学・医学・薬学・農学等、伝統的な学問分野の中で分断的に行われていた。そうした状況下で、1993年から京都で専門学校バイオカレッジ京都(2010年に閉校)を運営していた学校法人関西文理学園(当時:現学校法人関西文理総合学園)は、学際的・横断的にバイオサイエンスを教育研究する、バイオに特化しバイ大学の強さの背景にある「建学の精神」オの全領域を揃えた聖域を作るという考えのもと、滋賀県や長浜市等の協力を得て、長浜バイオの創設を進めた。2003年4月に、バイオサイエンス学部バイオサイエンス学科の1学部1学科(定員198 名)でスタートし、2007年4月に大学院バイオサイエンス研究科(博士課程前期課程・博士課程後期課程)を開設、2009年度には、バイオサイエンス学科を再編して、アニマルバイオサイエンス学科、コンピュータバイオサイエンス学科を新設することで、現在は1学部3学科、大学院博士課程前期課程・博士課程後期課程を有し、在学生数1200名を超える、名実ともにバイオの総合大学となった。大学周辺には長浜サイエンスパークが整備され、バイオテクノロジー関連産業の集積が図られている。そもそもバイオの領域には明確な定義はなく、生命を扱うものはすべてバイオサイエンスとして位置づけられており、創薬・環境・遺伝子・医療・植物・動物・酒造・土壌等、その対象は幅広く、基礎研究から応用・開発研究までを含んでいる(図表1)。広範な領域を対象とするバイオの教育研究を、学際的・横断的・総合的に進めるためには、各分野のバイオ研究の先端研究に基づいて運営されることが必要であり、研究力が生命線となるという考え方が創設時から認識されていた。このような研究重視の方針のもとで、大学の理念に共感した研究力の高い教員が集まった結果、教員一人あたりの科研費獲得額が私立大学の中で5位(2017年)、2011〜16年に『ネイチャー』に掲載された研究論文数が私立大学の中で10位という研究実績が示されている。教員数が69名の小規模新設単科大学において、このような研究水準の高さは特筆に値するものであろう。リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018「研究第一」を法人経営・大学教育の共通軸に据える蔡 晃植  学長長浜バイオ大学1C A S E

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