カレッジマネジメント208号
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24リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018されたのは、不要なものを入念にチェックしてコストカットを図ることであった。どのようにしても定員充足の見込みがない短期大学部の募集停止、学生の教育と直接関係のない生涯学習センターの廃止といった組織の見直しがあり、それと並行して、専任職員の徹底した少数精鋭主義化を目指し、職員人件費を大幅に減らした。恐らく、これが最も大変な改革であったろう。職員がいなければ大学は動かない。ましてや改革時には多くの労働力が必要になる。その中でいかにして職員の労働生産性を高めるか、これが鍵となる。興味深いのは、その削減分のいくらかを教員の人件費に回して、専任教員の比率及び教員集団の質を高めようとしたことである。人件費を減らすことを考えれば、職員だけでなく教員もその対象になりそうなものだが、それはしなかった。少人数教育を掲げる以上、質の高い教育を提供できる教員集団を構築することが不可欠だと、理事長、学長は考えたからである。これは英断である。そして次には、学部改組である。小規模女子大学ということもあり、人文学を中心とする古典的な学部構成だったところに、職業資格の取得を軸にした医療系の学部学科を新設して陣容を新たにしていった。具体的には、2010年には現代人間学部の心理こども学部への改組(こども学科と心理学科の設置)、看護学部看護学科の新設、2012年に食文化学部食文化学科の新設、2015年に看護学部を看護保健学部に変更して口腔保健学科の新設、2017年に食文化学部に管理栄養学科の新設と、わずか2010年から2017年にこれだけの改組新設が行われているのである。短距離走のスピードで長距離を走るような過酷なレースである。2009年の2学部6学科から、2017年には4学部9学科となったが、この学部の増設は定員を増やすことなく行われた。それは即ち、小規模で多様な教育プログラムを提供する大学に改組したことを意味する。狙いを定めた志願者マーケットの中の多様な志向、とりわけ職業資格取得を志向する層を新たに掬い取ろうとする戦略と見ることができる。この大胆な投資は、結果として「吉」と出たのである。この矢継ぎ早の改革は、有無をも言わさずトップダウンで進められたことと推察したが、理事長、学長によればそんなことはないのだそうだ。確かに、改革は理事会としての決定であるから、その点ではトップダウンある。しかしながら、それでもって教学の改革ができるわけはない。どのような改革であっても、反対はつきものである。そうした反対の声に応じつつ、ボトムアップ的に改革を支える力を生み出す力を得ることができたのは、偏に学長の力であるという。学長は、学部教授会を全学教授会へと機構改革した教授会の議長として教学組織を率いるとともに、教員との懇談会、学生とのキャンパス・ミーティング等の機会を設けて、改革の方針を粘り強く説得し理解を求めてきた。「大学の教員数が約140名、幼稚園、中学、高校を含む法人全体の教職員数が約300名と小規模な組織内で対立をしていれば負けてしまいます。改革には、全体としての団結が最も大事であり、それができれば、それだけ早く改革が進められます」と理事長が言われれば、それに呼応して学長は、「改革とは組織の問題だけではありません。それをいかに実質的な日常に定着させるかが重要で、そのためにはFDが欠かせません。全教員の授業公開の機会を前・後期それぞれ1回設ける、授業の実践報告会を教授会の前に30分行う等して教員を啓発していますし、また、優れた授業の取り組みを支援することで授業改革のインセンティブを高めることもしてきました。これらを通して教育の質も向上しつつあります」と話される。理事長と学長がタグを組んで改革を推進してきたという、そのありようが納得できた瞬間であった。どんなに良い改革をしているとしても、その情報が大学外に、とりわけ潜在的な志願者と、志願者の進路選択に影響を与える保護者や高校に伝わらなければ意味がない。そのためには、積極的な広報活動である。この苦境のなかにあっても広報費は削らなかったそうだ。むしろ、「おとなしい」「元気がない」という評判を覆し、元気のある大学というイメージを様々に打ち出そうとした。梅花を表現する梅花レッドのイメージカラーのもとで大学案内や看板等、大学を表す多くの媒体を新たにした。極めつきは、各種の大会での優勝経験を持ち全国的に知名度の高いチアリーティングを起用しての、テレビコマーシャルだ。コマーシャルで繰りチャレンジ&エレガンス

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