カレッジマネジメント208号
27/60

27(現在は認定こども園)において教育の専門家を育成していく組織的基盤として設置されたものだ。さらに、学生に留学を課す人文学部国際文化学科は、大学のグローバル化・国際化推進の契機となった。こうして複数学部ができることで、異なるカルチャーを持つ学生達が集い、相互に刺激し合いながら共に学ぶ環境が形成されてきたそうだ。しかも、最近10年間の志願者数は、多少の増減がありながらも基本的に増加傾向を続けている(図表1)。入試倍率も2009年度以降3倍を下回ることはなく、2017年度入試では6.4倍を記録している。質の担保には量の確保も欠かせない。質の高い学び合いを可能にするための量的要件が維持できており、それが好循環を生み出していると見ていいだろう。それにしても、近年の志願者数の伸びは劇的だ。飛躍的と言ってもいい。なぜこんなに好ましい状況が作り出せているのか。改めてこの50年間を振り返ってみると、星稜大の歩みは必ずしも順風満帆だったわけではないことが分かる。図表1にあるように、まだ経済学部だけの1学部体制だった2000年代半ばには入試倍率が2.0倍を大きく割り込み、入試の選抜機能がはたらかない全入状態を経験している。宮﨑学長は、全入時代となった当時は、入学してきた学生をどう育てるかで教員も職員も苦労した時期だったと振り返る。卒業までに社会人基礎力をどう身につけさせるかが課題となった。就職活動において心もとない学生も少なくなかった。挨拶やノックの仕方、面接での受け答えの仕方を手取り足取りきめ細かに指導し、就活のノウハウを教え込むような就職支援が必要だったという。しかし、そうした地道な取り組みが次第に実を結んでいく。出口の状況、つまりは就職実績が良くなることで学生からの信頼が高まり、状況は徐々に好転し始めたと宮﨑学長は語る。現在では、新入生アンケートで、入学動機として「就職サポートが厚いこと」が7割を超えるそリクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018特集 小さくても強い大学の『理由』05001000150020002500300035004000(人)(倍)01234567入学募集人員倍率志願図表1 金沢星稜大学入試状況年度1999200020012002200320042005200620072008200920102011201220132014201520162017志願914761719675581556645681839865131214441610169020682064204630073665募集人員350400400400400400400400400400400430430480480500500575575入学383377428366346380441397450480528515547559617548587627648倍率2.6 1.9 1.8 1.7 1.5 1.4 1.6 1.7 2.1 2.2 3.3 3.4 3.7 3.5 4.3 4.1 4.1 5.2 6.4 「全入時代」を経て飛躍的に成長

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る