カレッジマネジメント208号
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34──大学・企業・国が一体となった留学支援の動きはますます強化されています大学生の海外留学促進は、文部科学省が主導する官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」(2013年10月に開始)をはじめ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に向けた強化事案となっています。2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略〜JAPAN is BACK」において目指すゴールは、2014年時点で6万人だった大学の海外留学生を12万人まで伸ばすこと。「官民協働海外留学支援制度〜トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム〜」には民間企業から100億円以上の寄付が集まっており、海外留学促進によるグローバル人材育成には、官民の一定の賛同が得られているといえるでしょう。一方、海外留学後の就職活動という点では、特に1年超の長期留学において、留学期間と就職活動時期が重なることに対するマイナス影響を懸念する学生が未だに少なくありません。──具体的には採用選考のスケジュール上どのように関連するのでしょうか2017年卒向けの就職・採用活動では、3月から広報期間、6月から選考期間というスケジュールが組まれています。この時期が留学経験に対して影響しているかどうかについて、文部科学省が大学に行った調査(「平成29年度就職・採用活動に関する調査」・図1)によると、「わからない」を除くと、「影響がなかった」(23.3%)が最多です。また、「取りやめまたは、期間短縮をすることなく、予定通り留学を優先した学生が一定数いた」(16.4%)との回答が次に続いていることからも、実際にはスケジュールを把握したうえで留学を決定した学生が多いと推測されます。そもそも、就職・採用活動のスケジュールが2016年卒で大幅に変わり、広報のスタートが3月以降に繰り下げられたことには以下の3つの目的がありました。①大学3年生のうちは学業を優先させる②留学経験者を増やす③キャリア教育を充実させる、というものです。2016年卒向けのスケジュールにおいて選考のスタートが8月以降になったのもその理由によるものです。リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018020406080(%)就職・採用活動時期と重複したが、企業に日程の調整をしてもらって面接を受けた学生が一定数いた就職・採用活動時期と重複したため、企業に日程の調整を相談したが、受け入れてもらえなかった学生が一定数いた就職・採用活動時期と重複したが、留学の取りやめまたは、期間短縮をすることなく、予定どおり留学を優先した学生が一定数いた既に留学していたまたは留学する予定があったが、就職・採用活動の時期と重複したため、留学期間を短くした学生が一定数いた就職・採用活動時期と重複しない時期に留学をした(または今後留学する)学生が多く、全体としては影響がなかった留学する学生がいない(少ない)ためわからない留学する予定があったが、就職・採用活動の時期と重複したため、留学を取りやめた学生が一定数いた3.93.52.62.614.416.45.25.72.32.724.268.067.123.32017年度2016年度●文部科学省「平成29年度就職・採用活動に関する調査」より作成図1 留学経験者への影響日本人留学生の就職活動と大学に期待する支援株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所 所長岡崎仁美 2017年度の新卒採用においては、6月から選考が開始された。そのため、海外留学をした学生の就職活動にマイナス影響が出たという声があったが、果たして実態はどうだったのか。また留学経験者を採用する企業ニーズの本質とは何かを就職みらい研究所所長の岡崎仁美氏に聞いた。インタビュー

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