カレッジマネジメント208号
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55呼ばれているものである。ちなみに、ポジティブ・アクションには、性別を基準に一定の人数や割合を割り当てる「クオータ制」、能力が同等である場合に一方を優先的に取り扱う「プラス・ファクター方式」、達成すべき目標と達成までの期間の目安を示してその実現に努力する「ゴール・アンド・タイムテーブル方式」、女性の参画の拡大を図るための基盤整備を推進する方式等がある(内閣府男女共同参画局ホームページ参照)。この法律に基づき、国は5年ごとに基本計画を策定しており、2015年12月閣議決定の「第4次男女共同参画基本計画」においても、第3次に続き「科学技術・学術における男女共同参画の推進」を掲げ、施策の基本的方向と具体的な取り組みを示している。もう一つの流れが、1995年制定の「科学技術基本法」に基づき、5年ごとに策定されている「科学技術基本計画」である。同計画において、女性研究者の活躍促進を本格的に掲げたのは、2006年度から2010年度を期間とする「第3期科学技術基本計画」である。その中で、期待される女性研究者の採用目標として、自然科学系全体で25%(理学系20%、工学系15%、農学系30%、保健系30%)という数値が初めて示された。これを受けて、国による女性研究者研究活動支援事業が本格化する。2011年度から始まる「第4期科学技術基本計画」では、女性研究者は年々増加傾向にあるものの、その割合は諸外国と比較してなお低い水準にあるとの認識に基づき、第3期計画で掲げた自然科学系25%の採用割合の早期達成に加えて、さらに30%まで高めて(理学系20%、工学系15%、農学系30%の早期達成及び医学・歯学・薬学系合わせて30%の達成を目指す)、関連する取り組みを促進する方針が示された。この目標は、2016年度から始まる「第5期科学技術基本計画」にも引き継がれ、第5期期間中に速やかに達成するとの方針が示されている。なお、これらの数値目標は「第4次男女共同参画基本計画」にも反映されている。目標値に対する達成度を確認すると、研究者採用に占める女性割合は、2014年度時点で、理学系20%に対して女性研究者採用割合を自然科学系全体で30%へ15.2%、工学系15%に対して11.6%、農学系30%に対して20.3%、保健系30%に対して34.2%、自然科学系全体で30%に対して28.1%となっている(内閣府「第4次男女共同参画基本計画における成果目標の動向」2017年6月16日時点より)。また、女性研究者数は、2016年3月31日時点で13万8400人、研究者全体に占める割合は過去最高の15.3%になっており、2007年から2.9ポイント上昇している。その一方で、英国37.4%、米国34.3%、独28.0%、仏26.1%など、欧米先進国とはなお大きな開きがあり、韓国の18.9%をも下回っている(総務省統計局「統計トピックスNo.100」(2017年4月)より)。次に、国が推進してきた女性研究者研究活動支援事業を、ホームページで確認できる公表情報に基づき振り返り(次頁を参照)、大学に焦点を絞り、その成果と課題を検討する。まず、研究と出産・育児等ライフイベントを両立できる研究環境の整備や意識改革を促すことを目的に、2006年度に「女性研究者支援モデル育成プログラム」が開始される。また、2009年度からの2年間は、女性研究者の採用割合が低い理学系・工学系・農学系の研究を行う優れた研究者の養成を加速するべく「女性研究者養成システム改革加速プログラム」が加わる。2011年度からは出産・子育て・介護と研究を両立するための環境整備を促すため「女性研究者研究活動支援事業」が開始され、ワークライフバランスへの配慮、女性研究者の研究力向上、上位職への積極登用、他大学や企業等との連携による取り組みの普及を支援する枠組みも強化されていく。さらに、2015年度からは「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」として、女性研究者の積極採用やライフイベントによる研究中断からの復帰・復職支援を含め、研究環境のダイバーシティ実現に向けた体系的・組織的な取り組みを支援している。これらの事業が支援した取り組みは、両立支援、意識改革、ポジティブ・アクション、研究力向上、次世代育成の5つにまとめることができる。研究環境のダイバーシティ実現に向けてリクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018

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