カレッジマネジメント208号
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めていくことで技術的な課題を乗り越え実現した。既に同じ北16条キャンパス敷地内の図書館・講堂棟にはラーニングコモンズを設置し、学生の能動的なグループ学習を促進させる場づくりをスタートさせていたが、新校舎においても、さらにその機能を拡張させている。その象徴的な場の一つが、2階に設けられた「i.Learning Space(通称・アイランズ)」だ。学生がグループディスカッションをしたり、ゼミの一環として教員が講義を行ったりといった用途で活用されている開放的なスペースである。ポップな色合いのテーブル席や、落ち着きのあるボックスシート、個人ワークに没頭できる一人用の席、あるいは畳を配した小上がりになっているスペース等もあり、目的や用途に合わせた自由な利用が可能。特筆すべきは、学生スタッフがこの場を運営する役割を担っていることだ。モバイル、ノートパソコンの貸出、席の予約管理等、学生が交代で行う。「今後は施設の管理面だけでなく、ピアサポート等、学習面での関わりも期待したい。学生達に自主的に施設利用の企画を立て実施できるようになってほしい」と井上氏は語る。このほか講義室や、絵画や書道等に使用する多目的室でも、可動式の椅子・机が導入され、ハード面からもアクティブラーニング形式への対応がなされている。また1階に設けられた「マリアラウンジ」は、温かみのある照明と赤い椅子が印象的なスペース。学生同士が大学内に滞留して、勉強はもちろんのこと、授業の合間に交流する機会を増やせるようにすることが目的だという。学生達にとって心地の良い居場所となっているようだ。北16条キャンパスは、この新校舎の改築をもって終了ではない。こののち新校舎と講堂をつなぐ位置にもこの大学の精神を象徴する建築が生まれようとしている。その1階と2階には吹き抜けの聖堂。3階は、英語教育に特化した「藤ACEプログラム」を積極的に支援する設備とする構想だ。キリスト教の「復活」を象徴する卵の形を成し、アールを効かせたその外壁には、十字架が穏やかな光りを放つ。札幌の地から世界へ羽ばたく女性達の成長とともに継続的に進化するキャンパスの今後に期待したい。(文/金剛寺 千鶴子)藤女子大学は、カトリックミッションのドイツ・殉教者聖ゲオルギオのフランシスコ修道会をその設立母体とする、北海道唯一の女子大学である。旧制・札幌藤女子高等女学校を淵源とし、短期大学の改組を経て、現在は文学部と人間生活学部の2学部6学科から成る。ここ北16条キャンパスを利用するのは、主に文学部である。改組に応じて最適化を重ね、2014年に文部科学省から防災機能強化の方針が打ち出されたことを契機に、老朽化した建物の耐震化を進めてきた。この新校舎は2年前より工事を始め2017年春誕生した、キャンパス敷地内にある棟の中で最も高い9階建てである。ゼロからの建築ではなく、授業を継続し、大学としての機能を損なわぬままに刷新する工程は、特別な配慮が必要であったと事務局長・井上泰則氏は振り返る。空調や天井高等に関しては建築上の制約要件も多く、さらには北海道という地域性から降雪の影響を考慮したうえで工事を進めなければならないという高難度の建築・施工であったが、毎週の定例会議で、井上氏と一級建築士の資格を持つ職員が設計会社と綿密に相談しながらアイデアを詰60リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 20181階の「マリアラウンジ」。ランチ時にはお弁当を持ち寄って集まりにぎわう。照明は、調光だけでなく、3色の色味のバリエーションが取れるようになっている。

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