カレッジマネジメント210号
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10人間の長寿化が進んで、人生100年時代と言われるようになった。その一方で、人工知能等の技術の発展に伴う社会の変化は目覚ましく、企業寿命も約20年と短くなっている。このような変化に富んだ長い人生においては、若い頃に学んだのち、働いて育児して、退職・引退するという、従来のライフモデルは通用しない。生活と仕事における複数の役割を同時に担ったり、キャリアを転換したりする必要に迫られるからである。そして、そこに見えてくるのは、キャリアトランジションに向けて、学びながら働く人の姿である。社会に出てからも学び続ける、学びながら働くことが当然となった世界が到来する。では、学び続ける社会人とはどのような人達だろうか。この近未来を想像するために、その兆しを現状に求めるべく、本稿では2017年12月に社会人を対象に行った調査の結果から、社会人の学びの傾向を示しておこう。まず、学んでいる人の特徴や学び方について取り上げ、近年の学習テクノロジーの進化の観点から社会人学習の今後の変化について言及する。リクルートワークス研究所では2000年から正社員を対象とした学びの実態調査を行っている。その結果を見てみると、「最近1カ月の間に仕事に関連する学び」に取り組んだ人は2002年時点では、16.4%であり、2006年には21.0%と増加傾向が確認されてはいた。しかし、この数字を鵜呑みにすると、2006年には学んでいる社会人は約5人に1人であり、大半の社会人が学んでいなかったことになる。社会人は学んでいないのかそこで、ワークス研究所では近年の社会人の学びの傾向について仮説を生成するために、個人やグループのインタビューを実施し、近年の学習テクノロジーの動向を確認した。その結果、近年の社会人学習は、内容も方法も多様になっていること、正社員以外の就業形態で働いている人のほうが学んでいる傾向があること、転職や職種を変更した経験がある人のほうが学んでいる傾向があること等が明らかになった。さらに学習テクノロジーの進化は、社会人の多様な学びを後押しする可能性があることも分かってきている(参考資料参照)。こうした仮説を背景に、われわれは社会人の学びを「学び行動とは、新たな知識を身につける行為、全て」と再定義したうえで、2017年12月に改めて調査を行ったところ、70.7%が「自主的な学び行動をしている」と回答した。さらに「学び行動」の内訳を確認すると、「今の仕事に関連する学び」、「今後の仕事に関連する学び」、「仕事に関連しない学び」の割合は、4:2:4であり、仕事に関連する学びが6割を占めていることが示されている。それではどのような人が、自主的な学び行動をしているのか、以降で詳しく確認してみよう。職種別に見ると(図表1)、自主的な学びをしているのは、社会福祉専門職、医療技術者、ソフトウェア・インターネット関連技術者等の専門職に多く、平均学習時間も長い。一方で、自主的に学んでいる割合が低いのは、食品販売従事者、製造工程作業者、接客であった。このうち、「学んでいる」と回答した人に学びの内容を尋ねたところ、今の仕事職種によって異なる学びの量リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018「自主的な学び行動」をする社会人の特徴とは何か──リクルートキャリア・リクルートワークス研究所「働く喜び調査」より調査報告東洋大学 准教授久米功一リクルートワークス研究所主任研究員辰巳哲子

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