カレッジマネジメント210号
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12リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018次に、現在「自主的に学んでいる人」と「自主的に行っている学びはない人」の学びがどのように異なっているのかを分析した(図表3)。学びについて尋ねた項目について差を確認したところ、全ての項目について差があることが確認され、なかでも「学んだことを役立てる機会がある」「学ぶことは楽しい」「自分なりの学習リズムがある」「学んでよかったと思ったことがある」は、それぞれ.62, .61, .58, .56とほかの項目と比べて平均値の差が大きいことが示された。つまり、学んだことを役立てる機会があり、学ぶことは楽しい、学習習慣があり、自分なりの学習のリズムがあると感じている人ほど自主的に学んでいる。「学んでよかったと思ったことがある」と回答した人に対して、「具体的にどのようなことがよかったかお書きください」と尋ねたところ、3339の自由記述回答があり、出現頻度がもっとも高い名詞は「仕事」で846回確認された。紙幅の関係でここではいくつかの例示に留めるが、「CADソフトの自主的に学んでいる社会人と学ばない社会人の学び方・考え方の違い学んでいる社会人は、学習の効果をどのように捉えているのか使い方を習得して仕事の効率が上がったこと」「MBAで学んだビジネス判断のフレームワークがその後の仕事に役立っている」「仕事の幅も拡がり人とのつながりも増えること」等のコメントが確認されており、学習効果を現在だけでなく、その次の仕事に役立ったと回答している。さらに、社会人の学習の効果は仕事だけではない。学習行動と、「幸福度」や「キャリアの自己評価」には関係が見られる。2011年の調査(注)であるが、図表4の通り、学ぶこと自体を面白いと感じ、学んだことを活かしたい人は、幸福度や自己のキャリアに対する評価が高く、目標の発見や自己成就的な経験をしている。学習の楽しさやリターンを求める態度は、そのままキャリアにも活かされていることが分かる。さらに図表4の通り、学ぶ理由別に「自分の強み」の割合を見てみると、学習の楽しさとリターンを求める傾向がある人は、「自分の決断がもたらす結果を考慮する」「自分の将来は自分で決める」ことを強みとする割合が高い。高いキャリア評価につながる学びの根本には、学習者自身が自分のキャリアを管理する「キャリアオーナーシップ」があると言えよう。これまでに確認したように自主的に学ぶ社会人には以社会人学習者の学び行動を促進するために現在自主的に学んでいる(A)現在自主的に行っている学びはない(B)差(A-B)リターン学ぶことは収入の増加につながると思う3.383.08.29学ぶことは新たな仕事に就くことにつながると思う3.433.08.35学んでよかったと思ったことがある3.743.18.56学んだことを役立てる機会がある3.402.78.62学んだことは仕事など実際の場に活用しようとする3.502.99.51学び方新しいことを始める時には、何を学べばよいかがすぐわかる3.112.63.48新たなものを学ぶ時には自分が既に知っているものと結びつけながらおこなう3.452.99.45習慣化自宅や図書館など場所を選ばずにどこでも学ぶことができる3.362.89.46自分なりの学習のリズムがある3.382.80.58仕事を進める上で、知らないことやよくわからないことがある時、すぐに学び行動をとる3.492.96.52効力感学ぶことで自分が変わると思う3.653.18.47学べばなんでもできるようになると思う3.182.76.41経験高校や大学では、学校での学習と将来の仕事との関連を学んだ2.822.44.38気持ち学ぶことは楽しい3.502.89.61人に教えることが楽しい3.102.56.53図表3 自主的に学んでいる人の学び方・学びの考え方注)各項目について「とてもあてはまる(5)」〜「全くあてはまらない(1)」の5段階で尋ね、回答した得点の平均値

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