カレッジマネジメント210号
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142016年1月に閣議決定した第5期科学技術基本計画の中で、「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」これを「超スマート社会」と位置づけ、こういった社会の実現に向けた一連の取り組みを「Society 5.0」(ソサエティ5.0)としている。これらを高度な情報技術を活用して実現すべく、情報技術分野の人材育成強化が求められている。ところが、我が国の労働人口の減少に伴い、今後情報技術人材の不足が深刻化していくと予測されている。経済産業省の調査によると、2015年時点ですでに約17万人のIT人材が不足しており、2020年には約37万人、2030年には最大約79万人のIT人材不足が予測されている(図2)。今後特に大幅な市場拡大が予想される先端ITの分野に絞って見てみると、2020年には情報セキュリティー人材の不足は約19.3万人、人工知能等に関する人材は約4.8万人が不足するとされている。産業界においては、技術に対する十分な知見・知識を持ち、攻めのIT投資を牽引できる中核人材が不足していることが最も大きな課題となっている。そこで文部科学省は2017年度より、社会で活躍する個々の情報技術人材の生産性を高めるための学び直しを進めるべく、情報科学技術分野を中心とする体系的かつ高度でIT人材育成のための社会人向けプログラム短期の「社会人の学び直し」のための実践教育プログラムとして、「enPiT-Pro」を開始し、産業界・複数大学の協働により開発・実施。社会人学び直し機能の強化への貢献を目指す大学院改革の取り組みを支援している。「enPiT-Pro」の申請対象となった事業では、複数の大学連携による共同申請を必須要件とし、大学間・産業界との体制が適切に構築されていること等が事業の構想・計画における留意事項として示された。その理由として、高等教育局専門教育課 情報教育推進係係長 髙木歩氏は、「今回の取り組みは社会における高度情報技術関連の人材不足に対する施策でもあるので、社会が求める人材像を育成するプランになっているかは重要なポイントでした。そのため、申請段階においては、大学間と産業界との連携体制について、それぞれの役割や協力内容等を明確にしていただく必要がありました」と語る。その上で、大学が持つ基盤的知識や最先端理論と産業界のビジネスにおける知見とを組み合わせて行うことを求めたのだという。公募の結果、計11件の申請があり、5件の採択となった。共同申請校も含めた全体の申請大学数は延べ57機関にもリクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018成長分野を支える情報技術人材の社会人教育──enPiT-Proの狙いと取り組み産業界における情報技術分野の人材不足は深刻である。特に第4次産業革命を牽引するイノベーティブな人材の能力開発は急務であり、産官学が一体となって取り組むべき課題とされる。本稿では、文部科学省が実施する、情報科学技術分野を中心とした社会人向け実践教育プログラム「enPiT-Pro」(図1)について狙いと取り組みを取材した。 (取材・文/馬場 美由紀)enPiT-Proの目指す産業界・複数大学の協働による実践教育図1 社会人の学び直しを推進する「enPiT-Pro」社会人IT技術者・実践演習・理論 など拠点大学大学大学大学学術団体ベンダー企業研究機関ユーザー企業2017~2021年度(5年間)enPit=Education Network Practical Information Technologies (エンピット)2030年には最大約79万人のIT人材が不足Chapter1リポート

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