カレッジマネジメント210号
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22リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018第五類型・第六類型で指定されているのは、必要性が高まる高度IT人材養成のための講座である。その背景と今後の方向性について、経済産業省経済産業政策局産業人材政策室室長補佐(※取材時)の橋本賢二氏に聞いた。「第四次産業革命を担うIT人材については、例えば新たなAI技術を創出するようなイノベータ―層、現場で活用方法を見出し開発を行うミドルハイ層、開発側に対して発注や依頼を行う層まで、まさに『全てが足りていない』状況です。それぞれのレベルに対応した人材育成のツール、実践的な教育訓練の機会を充実させていかなければなりません。今回創設された『第四次産業革命スキル習得講座認定制度』では、ITスキル標準レベル4の修得を前提としながらも、産業構造の転換や急激な技術革新に対応していけるよう、ナレッジの習得にとどまらず、デザイン思考やアジャイル開発といったコンピテンシーを養成する実践的なプログラムも対象としています」。第五類型・第六類型ともに現時点での指定講座はまだ少なく、また民間教育訓練機関が実施する講座に限られているが、大学や大学院についても「積極的に講座開設を検討してもらいたい」(同)と言う。「17年12月に閣議決定された『新しい経済政策パッケージ』においては、18年夏に向けての検討事項として、リカレント教育の拡充が掲げられています。経済産業省では『我が国産業における人材力強化に向けた研究会』において検討を行い、3月に提出されたその報告書では、IT分野に限らず、広く社会人が学べる環境を作っていく必要があると提言しています。大学関係者の方々には、産業界、ひいては社会全体からのこうした熱い要望に対して力強く応えていただきたい」(同)。中央教育審議会で3月に答申された「第3期教育振興基本計画」においても、「職業に必要な知識やスキルを生涯を通じて身につけるための社会人の学び直しの推進」は大きなテーマの一つになっており、2022年度までに実現すべき数値目標として大学・専門学校での社会人受講者数を現在の約2倍、100万人にする、ということが掲げられている。そのための具体的な施策の方針について、文部科学省生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)の伊藤史恵氏に聞いた。社会人受講者数を100万人に第一類型第二類型第三類型第四類型第五類型第六類型業務独占資格・名称独占資格の養成施設の課程専門学校の職業実践専門課程専門職大学院職業実践力育成プログラム(BP)一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする講座第四次産業革命スキル習得講座※「養成施設の課程」とは、国または地方公共団体の指定等を受けて実施される課程で、訓練修了で公的資格取得、公的資格試験の受験資格の取得、または、公的資格試験の一部免除が可能となる課程※「職業実践専門課程」とは、専修学校の専門課程のうち、企業等との密接な連携により、最新の実務の知識等を身につけられるよう教育課程を編成したものとして文部科学大臣が認定したもの※専門職学位課程※「職業実践力育成プログラム」とは、大学・大学院・短期大学・高等専門学校の正規課程および履修証明プログラムのうち、社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的プログラムとして文部科学大臣が認定したもの※「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格」とは、ITスキル標準において、要求された作業をすべて遂行することができるとされているレベル3相当以上の資格※「第四次産業革命スキル習得講座」とは、高度IT分野等、将来の成長が強く見込まれ、雇用創出に貢献する分野に関する社会人向けの専門的・実践的な教育訓練講座(ITスキル標準レベル4相当以上)を経済産業大臣が認定する制度指定開始2014年10月(制度開始時)2014年10月(制度開始時)2014年10月(制度開始時)2016年4月2016年10月2018年4月講座の期間原則1年以上3年以内でかつ取得に必要な最短期間2年2年以内(資格取得につながるものにあっては、3年以内で取得に必要な最低期間)正規課程:1年以上2年以内履修証明プログラム:時間が120時間以上、かつ期間が2年以内120時間以上※、かつ期間が2年以内※ITスキル標準レベル4相当以上のものに限り30時間以上(2017年10月~)30時間以上、かつ期間が2年以内対象講座例看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、はり師・きゅう師、介護福祉士、保育士、キャリアコンサルタント等商業実務(経理・簿記)等MBA、MOT、教職大学院、法科大学院等地方創生、女性活用、中小企業支援、若年者の就業支援等に関わる講座シスコ技術者認定、情報処理安全確保支援士等AI、IoT、クラウド、データサイエンス、IT利活用分野等指定要件となる講座レベル受験率(講座受講者の80%以上)/合格率(全体受験者の平均合格率以上)/就職・在職率(講座受講者の80%以上)就職・在職率(講座受講者の80%以上)就職・在職率(講座受講者の80%以上)、法科大学院の場合合格率(全体平均以上)/定員充足率(60%以上)、認証評価適合就職・在職率(講座受講者の80%以上)、正規課程の場合就職・在職率及び定員充足率(60%以上)受験率(受講者全体の80%以上)/合格率(全体平均以上)/就職・在職率(講座受講者の80%以上)就職・在職率(講座受講者の80%以上)講座数(18年4月時点)1,180講座742講座77講座94講座24講座16講座実受給者数(17年9月末時点)12,533名286名2,623名337名6名―指定講座の実施機関大学、専修・各種学校、指定を受けた民間企業・団体専修学校大学院大学、大学院、短期大学、高等専門学校民間企業※大学・大学院も申請可能民間企業※大学・大学院も申請可能橋本賢二氏経済産業省経済産業政策局産業人材政策室 室長補佐表2 専門実践教育訓練の対象講座

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