カレッジマネジメント210号
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23リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018「大学や大学院等で学ぶ社会人の数は近年横ばい傾向が続いており、社会人の学び直しの拡大には様々な課題の克服が必要です。厚生労働省『平成28年度能力開発基本調査』においても、7割強の労働者が「学び直しに問題がある」と答えています。また『平成27年度教育・生涯学習に関する世論調査』では、社会人が大学等の教育機関で学びやすくするための取り組みとして『学費の負担等に対する経済的な支援』『実践的な内容のプログラムの充実』『土日祝日や夜間における授業の拡充』『学び直しに関する情報を得る機会の拡充』が挙げられています。こうしたことから、大学等に対しては、もっと社会人向け講座の開設を積極的に発信して欲しいと思いますし、実践的な教育カリキュラムを備え、かつ社会人が学びやすい講座を抜本的に増やしていただきたいという課題意識があります。実践的なプログラムの質的・量的な拡充については、職業実践力育成プログラムや職業実践専門課程の枠組みを活用しながら、社会から求められ、また社会人が高い関心を持つテーマについて、短期で学びやすい講座をいかに増やしていくか、地理的な偏りの解消を含めて取り組もうとしています。あわせて、現状でもそうした短期で学修可能なプログラムの一部は専門実践教育訓練給付の対象になっていますが、より多様な学び手を後押しできるよう、その他のブログラムについても、厚生労働省と連携しながら検討をすすめていきたいと考えています」(文部科学省・伊藤史恵参事官)。厚生労働省においても、労働政策審議会で専門実践教育訓練給付対象講座指定基準の見直しに関する議論が進められている。「『人生100年時代構想会議』において一般教育訓練給付の拡充の検討が議論されているように、長期の教育訓練に加え、在職者のコンパクトで弾力的な受講を可能にする対応も課題です。専門実践教育訓練給付制度についても、制度創設から3年間の振り返りをもとに、指定基準のあり方についての見直し検討が始まっています。こうした議論を踏まえ、引き続き、文部科学省、経済産業省とも連携しながら、教育機関がより今日的で実践的なプログラムを開拓しやすいよう、制度設計を進めてまいります」(厚生労働省・伊藤正史参事官)。リカレント教育の拡充については、表3のように「人生100年時代構想会議」をはじめ様々な会議体で議論されており、関係各部局が部門間の垣根を越えて検討が進められている。「社会人の学び直しに関しては、『社会人の入学があまり見込めない』『コースの維持にコストがかかる』『教員の確保が困難』等といった理由から、取り組みに後ろ向きになってしまう大学もあると思います。しかし、大学は複数の専門による教育プログラムを豊かな資産として抱えている教育体であり、最先端の知識を生み出すトップランナーでもあります。出口志向で考えれば、社会のニーズに合う、またニーズをリードするプログラムを様々な形で組んでいくことが可能です。実際に大学や大学院で学んだ社会人も、従業員の教育訓練に大学を活用した企業も、大学の価値を高く評価しています。夏までに最終報告書がまとめられる予定となっている「人生100年時代構想会議」での議論にもあるように、環境変化や社会からの要望に対応し、また社会を積極的に導いていこうとする大学を支援するため、今後も様々な施策が実施されようとしています。大学経営に携わる方々には、大学が果たす役割を拡大していくため、鋭くアンテナを立てて社会人に向けた取り組みを充実させていただきたいと考えます」(文部科学省・伊藤史恵参事官)。社会人の学びに関する領域に長く携わってきた筆者の目から見ても、社会人の学習がこれほど注目されたことは過去にない。大学に関する領域にとどまらず、ITや地方活性化をはじめ各専門分野の振興策についても目を離すことはできないだろう。リカレント教育の拡充施策に鋭くアンテナを所管会議名内閣府人生100年時代構想会議、日本経済再生本部、働き方改革実現会議、未来投資会議、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議文部科学省中央教育審議会 教育振興基本計画部会、生涯学習分科会、大学分科会将来構想部会、大学分科会制度・教育改革ワーキンググループ経済産業省我が国産業における人材力強化に向けた研究会、「第4次産業革命スキル習得講座認定制度(仮称)」に関する検討会、未来の教室とEdTech研究会厚生労働省労働政策審議会人材開発分科会表3 大学におけるリカレント教育の拡充について議論された・されている主な会議体特集 人生100年時代の社会人教育伊藤史恵氏文部科学省生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)※1学び事とは、「資格取得」等の仕事・スキルアップに関するものに加え、趣味に関するものを含む。1回完結や短期集中講座、インストラクター等からの指導、通信教育も全て含む。※2データは、第3回労働政策審議会人材開発分科会(平成30 年2月6日)資料2-2による

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