カレッジマネジメント210号
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27リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018がなければ、ビジネスは成り立ちません。グロービスは、そうした志を持った人を送り出したいと思い、これまでやってきました。従って、どのビジネス・スクールが競合相手だと考えたこともありません。ひたすらわが道を行く、なのです」。学生数の増加を見れば競合相手など考える必要もないが、信じる道をひたすら走ってきた結果が、現在なのである。では、学生数の伸びは、教育効果を保証しているのか。恐らく、外部からはこうした質問が出るだろう。確かに、修了生のアンケート調査は、ポジティブな傾向を示しているものの、それがグロービスの修了生であるからの結果なのかは、検証が必要である。例えば、グロービスの大学院修了者は、ほかよりも昇進・昇給が早い等の結果が得られれば、教育効果の一つの証左となる。教育効果はいかにしかし、それらの結果を待たずとも、効果の感触はある。その第1が、メンター制度である。修了生が中心となって在学生の学習を支援する制度は珍しいものではないが、グロービスの場合、自身の時間を擲って後輩のサポートをする者が多く、どこからの指示があるわけでもないのにメンター間での会議を持ち、メンター制度の改善を図る等しているとのことである。それは自身の受けた教育を、よしとするからこその行動である。第2が、修了生の再教育である。修了生のネットワークは各種あるが、2017年からは修了生向けにアルムナイ・スクールを開設した。そこでは、単位にはならないが、かなりハードな予習・復習が課されるコースを提供した。それにも拘らず多くの修了生が、受講料を支払って参加した。学習は1回限りではないという理念が、修了生の間に浸透していることを表している。第3が、ほとんどの学生が、職場の上司・先輩・同僚等の口コミで受講するに至っていることである。大学院に限らず、グロービスが事業展開する各種の教育・研修を受けた者の勧めが契機となって、大学院の門を叩いたのである。こうした口コミは、正直で容赦がない。その口コミで集客できていることは、教育が評価されている証である。「教育とは究極のサービス業です。また、教育はブランド・ビジネスです。明確な目標を掲げて、少しずつ実績を挙げていくだけです。特別の秘策があるわけではなく、当たり前のことをやっているだけです」。田久保研究科長は「当たり前」を強調される。とはいえ、これができないのが日本の大学であり、それは大学を成立させている制度によるとともに、大学を構成する教職員のマインドでもある。こうしたやり方を、「大学」には似つかわしくないと揶揄する声もあろうが、市場は正直である。伝統的な大学は、これをどのように受け止め、どのように反応したらよいのだろうか。(吉田 文 早稲田大学教授)テーマ科目名内容自らの使命・価値観を問う企業家リーダーシップ代表的な創業者や変革者等の事例を用いてリーダーの内面に迫る科目です。リーダーとしての人間性・哲学・ミッション等のあるべき姿を感じながら、最終的には自らの使命を明確にすることを目指します。リーダーシップ開発と倫理・価値観「創造と変革」の現場でリーダーとして活躍するために必要な要件を明確にし、それらを効果的に開発するための方法論を考えていく科目です。またリーダーとしての倫理観、価値観と向き合い自己理解を深めていきます。経営道場良書をもとに読書会形式で自己と向き合う『経営道場』。高い志や強い意志、責任感、勇気、そして人間的魅力といった人間力を高めていくことを目的とした科目です。トップリーダーの「志」に触れるあすか会議政治家、経営者、学者、メディア等各界のリーダーから大きな刺激を受ける1000人規模の合宿型のカンファレンス。グロービスの教育理念が凝縮された2日間を通して、学生たちは自らの志を一回り大きなものに育てています。学長セッション学長であり、グロービスの創業者である堀氏と学生との対話形式で進められるセッション。堀氏の想い、そして志に触れ、「創造と変革の志士」たらんと願う学生たちの志を磨く貴重な機会となっています。トップセミナー四半期に一度、第一線で活躍するビジネスリーダーや文化人を招聘しセミナーを開催。分野・国籍・年代を超えて様々なロールモデルに接することで、目指すべきリーダー像が具体化されていきます。仲間の「志」に触れる入学オリエンテーション入学前に同級生が一堂に会すオリエンテーションでは、初対面の学生同士でグループディスカッションを行い、互いに想いを語り合います。生涯にわたって切磋琢磨し合う人間関係を育むための第一歩となる濃密な時間です。学年活動グロービスでは学生が主体となって、自らの成長機会を創造するための様々な活動が展開されています。イベントを企画運営し、自身も参加していく中で、数多くの仲間の志に触れ、自らの志を育てる機会となっています。振り返りセッション振り返りセッションは、入学後の学びや経験を振り返り、志を見つめ直す場です。将来のありたい姿に向けて着実にステップを踏めているかを確認します。改めて立ち止まり、自らの課題を確かめ、仲間と共有することにより、今後の学びを深めるための行動指針を得ます。クラブ活動学年という枠組みを超え、在校生と修了生が共に活動するクラブの数々。それぞれが自分の思いに沿って活動する中で、志が磨かれ、自分が向かうべき方向性を見いだす学生も多く、クラブ活動から起業や事業創出・社内変革に至った事例も出ています。図表3 グロービスの志を醸成する仕組み特集 人生100年時代の社会人教育※大学HPより編集部作成

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