カレッジマネジメント210号
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30リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018や知識を習得できる。京都はもちろん、東京キャンパスだけでも、卒業までに必要なスクーリングを全て受講することができるため(陶芸・染織は京都のみ)、関東圏の社会人でも学び続けやすい環境である。専門的な科目を基礎から学ぶことができるので、全てのコースでこれまでの知識や経験は問うていない。京都キャンパスでは、世界に誇る名所や名工にふれる貴重な芸術体験も取り入れる等、地の利も活かした実践的で質の高い学習の場を設けている。「芸術は一部のアーティストやデザイナーだけが扱うことを許されているのではなく、本来全ての人に開かれたもの」という考えに基づき、芸術教養学科では「自己を高める」という本来の芸術の意味に立ち返り、芸術教育の門戸を開いている。例えば、「モノの見方、感じ方」を変え、暮らしの中に芸術を活かす方法を学ぶ。具体的には、芸術史や芸術理論でアートの仕組みと歴史的変遷をつかみ、基礎的な芸術の知識を深めるだけでなく、デザインや音楽、色彩等、現代の暮らしに身近なものの役割や考え方も理解していく。さらに芸術教養講義では、現役で活躍するデザイナーや芸術家たちの最先端の取り組み事例を研究したり、様々な芸術の姿に触れることで、仕事と暮らしをより良く変化させる「視点」も手に入れることを目指す。特徴的なのは、その方法・手段である。芸術教養学科では「手のひらに、芸大を」をコンセプトとし、スマートフォンなどを利用し、時間や場所を選ばず、インターネット(通信学習専用 Webサイト「airU(エアー・ユー)」)による学習を可能にしている。これまで「通信による芸術教育」に興味を示しながらも、最終的に入学を断念した理由として、「通学して受講する対面授業(スクーリング)」と「学費」の2つの問題があったという。そこで2013年に新設した芸術教養学科では、「自己を高める」ために学び重ねる意欲のある全ての人が芸術教育を学べるような環境を目指し、インターネット環境とメディアを最大限に利用した学習の仕組みを実現したのである。例えばWebスクーリング科目は、学習効学び重ねたい全ての人の「手のひらに、芸大を」果が最も高いといわれる3〜5分間の動画教材とテキストで学ぶ形式をとっている(全15章からなる動画教材を視聴し、各章ごとに選択式の確認テストを実施)。自分の所属する学科・コース以外の学びでも、興味があるものを好きなだけ選択して、広く学ぶことができる。通信教育部においては総合教育科目・学部共通専門教育科目として179科目を設置するだけでなく、各期に100を超えるユニークな講座が並ぶ「藝術学舎(公開講座)」との単位連携も行っている。多数の講座をもつカルチャーセンターやオープンカレッジ等における学びとの違いを尾池学長に尋ねると、「アラカルトとして多数の科目を設けているというより、フルコースのカリキュラムとして構造化している」ことが真っ先に挙げられた。質の高い学習プログラムが体系的に構築されており、「学位授与に向けて単位を付与するという重みは、教員の意識や態度にも表れている」と上田部長は話す。通学部と兼任する教員だけでなく、30名を超える通信教育部専任の教員も、通学部と同じ理念に基づき、非常に前向きで熱心な指導に当たっている。通信教育部発案時から「芸術は自分と向き合う時間も必要であり、通信による学習はそれに適している」という確固たる想いはあったものの、当時の文部省の認可を得ることは容易ではなく、「しっかりとした自宅学習システム」を整えることが強く求められたという。そのため、先に紹介した「3~5分間の動画教材とテキストで学ぶ形式」でも、その手軽さだけでなく質の高さも常に追求している。例えば、映像教材では「日曜美術館」等を制作するNHKエデュケーショナルの協力による豊富な素材と、京都造形芸術大学の教員による臨場感あふれる授業が展開されている。その教材を含め、教育システムを1~2年のサイクルで更新していることは、特筆すべき点である。尾池学長は「お金はかかるが、『旬』を逃さないことが重要」とその理由を語り、Webマガジンも活用しながら、「通信による教育」ならではのタイムリーな学びの場を提供している。「ツールは手軽にしても、学びの高い質は担保する」と通信教育だからこそ求められる質の高い学び

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