カレッジマネジメント210号
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32OECD(経済協力開発機構)のデータによれば、日本の25歳以上高等教育機関入学者比率は国際的に見て最低レベル。また、文部科学省『学校基本調査』を用いて算出すると、大学(学士課程)への社会人入学者数は、徐々に減少しているという結果も得られる。内閣府「人生100年構想会議」はリカレント教育の必要性を説いているが、果たしてどれほど実現性があるものなのか──しかしながらこうした見方は一面的にすぎないのかもしれない。少なくとも学校法人敬心学園日本医学柔整鍼灸専門学校(以下、日本医専)への訪問は、以上の問いが単純であることに気づかせてくれる経験だった。敬心学園の歴史は、1974年に日本ジャーナリスト専門学校(東京都新宿区四谷)を開校したことに始まる。その後、児童文学や福祉へと領域を拡げ、日本医専は2002年に創立された。地下鉄東西線高田馬場駅から徒歩1分という好立地に位置しており、柔道整復学科と鍼灸学科の2つを有する。学園クレド(信条)の行動指針として掲げているのは、「先駆性」「科学性」「倫理性」「文化性」の4つであり、なかでも「先駆性」を最も意識している。日本医専が、社会人の学び直しに取り組む代表的事例として注目されるようになったのも、「先駆性」を大事にする姿勢あってのことだ。学園が社会人をターゲットにし始めたのは、20年も前のこと。18歳人口が今後増えないという将来予測がなされるなか、一時的な介護福祉不人気といった領域の事情も重なり、社会人受け入れへと舵を切ることにした。ただ、方針転換を余儀なくさせた領域固有の事情は、別の側面から成功の下支えにもなったようだ。岸本光正学園本部長(日本医学柔整鍼灸専門学校副校長)は、「医療・福祉・保育業界は、新卒でなければ受け入れないといった制約がなく、高度な対人折衝業務が多いため、社会経験のある人が優位になるケースが多い」「卒業後の就職で、社会人だからといって困ることもない」「ライセンスに結びつく領域だという特異性も大きい」と説明される。結果として、いまや日本医専の社会人比率(高卒既卒者比率)は75%にものぼっている。年代的には20代が31%と最も多いが、30〜40代も32%、50代や60代の学生もいる。社会人学生はマイノリティーなのではなく、マジョリティーなのである(図表1・2参照)。しかしながらここで急いで断っておかなければならないのは、医療・福祉・保育業界で社会人教育の看板を掲げれば、学校が自動的に発展するわけではないということだ。日本医専は、社会人学生のニーズがどこにあるのか、徹底的に理解しようとしている。岸本本部長によれば、社会人学生を一括りで捉えるには無理がある。素朴に整理してみても、同じ職種のなかで、競争優位性の磨きこみこそが鍵リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018先駆性を軸にした徹底した社会人マーケティングと教育設計岸本光正敬心学園本部長兼日本医学柔整鍼灸専門学校副校長敬心学園日本医学柔整鍼灸専門学校3C A S Eマジョリティーとしての社会人学生

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