カレッジマネジメント210号
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50リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018京都産業大学が2017年に設置した現代社会学部では、アドミッションポリシーとして「社会の多様な事象・問題に関心を持ち、それらの関係性や解決策について考えようとする意欲を持っている人」「自己の価値観や立場を絶対化せず、多様な属性や価値観を持つ人々を理解し受け入れながらリーダーシップを発揮できる人」「高い学習意欲を持ち、将来にわたり多様な価値観を容認する社会の発展に貢献しようとする意志を持つ人」の3点を掲げている。学部として、社会学の基盤と幅広い教養を軸に、社会を研究するだけでなく実際に変えていく「次世代型リーダー」を育成することをコンセプトとしており、そのためには素養として、先述した3点が欠かせないのである。現代社会学部では、この3点に重点を置き、学部コンセプトに合致した人物を選抜する独自の入学者選抜を展開している。その名も「次世代型リーダー選抜入試」。高校までのリーダーシップを発揮した経験とそこから何を学んだのかを紐解き、大学の教育と丁寧に接続する内容である。「リーダーシップと一言で言っても、その解釈は人によって様々です。多様な人々と協働し、主体的に行動した経験とそこから自分は何を学んだのかを客観的に説明できることを重視します」と藤野敦子学部長は話す。入試のプロセスは図表1に示した。まず書類審査で志望理由書と自己アピール書で、リーダーシップを発揮した経験と学部を志望する理由について言語化する。その後、リーダーシップセミナーという独自プログラムを受講する。セミナーでは60分のグループワークを2回、それぞれ与えられた課題に初対面のメンバーと協働して取り組み、その後にリーダーシップに関する45分の講義を受ける。リーダーシップに関する理論等のレクチャーである。そうしたプロセスを経て、振り返りレポートを作成し、提出する。グループワークのリフレクションに理論が加わり、自分なりに昇華した状態を見るのである。グループワークのお題は、例えば「たわし」の従来以外の用途を考える等、答えが1つでない問いについて、他者と協働してどんな答えを導き出すかというものであるという。「実社会では常にそうであるように、正解が1つに定まっているようなことはまずあり得ないものです。だからこそ、協働して自分たちの解にたどりつくためのアプローチを行える人材が活きる。グループワークの中でそうした経験をしてもらい、その中で自分はどう動くのかを実践してもらいます」。パフォーマンス評価は客観性・公平性を期して独自のルーブリックを用いて行う。この入試では、多様性が増し、より複雑化した未来社会でリーダーシップを次世代でのリーダーシップを育成するとは藤野敦子現代社会学部長学部コンセプトの体現者を募集する次世代型リーダー選抜入試高大接続の入学者選抜8京都産業大学 現代社会学部■一次選考出願書類写真調査書志望理由書自己アピール書自らの成果や実績を証明できる添付資料(任意)リーダーシップセミナーグループワーク(60分×2回)リーダーシップ講義(45分)振り返りレポート作成(45分)■二次選考小論文 社会問題テーマ(60分)個人面接自己アピール書の発表+出願書類・小論文の内容に基づく質疑応答(15分)図表1 入試プロセス学部コンセプトを結晶したアドミッションポリシー

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