カレッジマネジメント210号
52/72

52リクルート カレッジマネジメント210 / May - Jun. 2018建学の精神から「社会知性の開発」へ専修大学は、相馬永胤、田尻稲次郎、目賀田種太郎、駒井重格により、1880年に創立されました。大学の講義は外国語で行われるのが当たり前だった時代に、日本初の、日本語で経済学と法律学を共に学べる「専修学校」が誕生したのです。明治維新後まもなく、官費や藩費で留学した4人は、現地で出会い親交を深めるうちに、帰国後は学校を作り、専門教育を若者に授けることで、長年海外で勉強する機会を与えてもらった恩に報いたいという共通の夢を持つようになります。この思いは、建学の精神である「社会に対する報恩奉仕」につながっています。一方、現代では大学に通わせてくれるのは保護者であり、私自身、専修大学の卒業生なのですが、入学当時には建学の精神を聞いてもぴんと来なかったことを覚えています。そして、時は21世紀を迎え、新しい専修大学のあり方を示すため、建学の精神を現代的に据え直した「社会知性(Socio-Intelligence)の開発」を専修大学21世紀ビジョンとして掲げました。社会知性とは、①深い人間理解、②倫理観、③地球的視野、④独創的な発想により、社会の諸課題の解決に取り組んでいける能力のことです。自分が一生懸命勉強して得た知識や技能を、家族も含む社会の諸問題の解決のために役立てるという考え方が、社会知性という言葉には込められています。転換と導入を重視する教育改革本学では、この「社会知性の開発」を新たな教育理念として根幹に据え、それを大学全体と各学部のディプロマポリシーに反映させて教育改革を行い、2014年には新たな学士課程教育となる新カリキュラムを作りました。主な骨子は、転換教育課程、導入教育課程、教養教育課程、専門教育課程の領域からなり、特に転換と導入を重視しています。転換教育課程では、高校までの考え方を大学の学びへスムーズに転換してもらうのが目的で、少人数制の「専修大学入門ゼミナール」を新入生は必ず履修しまささき・しげと氏1955年生まれ1978年専修大学商学部会計学科卒業。1983年専修大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(経営学)。1983年専修大学商学部助手。1988年同助教授。1995年同教授。2013~16年商学部長。2016年9月より現職。2011~13年税理士試験委員。専門は会計史。創立140周年に向け、「社会知性の開発」を具現化する改革を推進専修大学 学長佐々木 重人

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る